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シェイクアウト訓練とは?訓練のやり方と意味を防災士が解説

まず低く

この記事で分かること
  • シェイクアウト訓練とは何か
  • シェイクアウト訓練のやり方

災害への備え方は、過去の災害を教訓にしたり、海外のやり方を取り入れたりしながら常に変化しています。

防災訓練も例外ではありません。

近年は、シェイクアウト訓練という新たなスタイルの防災訓練が注目され、行政や企業を巻き込んで全国的に広まっています。

この記事では、シェイクアウト訓練とはどんな防災訓練なのか、シェイクアウトの意味と訓練のやり方、参加するメリットや参加方法について解説します。

シェイクアウト訓練とは

シェイクアウト訓練

出典:効果的な防災訓練と防災啓発提唱会議

シェイクアウト訓練とは、2008年にアメリカ合衆国の南カリフォルニア州で生まれた、地震の一斉防災訓練です。

シェイクアウト訓練では、事前に専用サイトに登録した参加者が、指定日時に届く電子メールを合図にして、「そのときにいる場所」で訓練を行います。

「そのときにいる場所」で地震が発生したと想定してとっさに身を守るという、従来の防災訓練とは異なる訓練です。

シェイクアウトの意味

シェイクアウト(ShakeOut)は、「地震を振り払え」、「地震を吹き飛ばせ」といった意味の造語です。

英語の「Shake~out of…(…から~を振り払うという意味)」をもとに造られました。

シェイクアウトの始まり

南カリフォルニア州の学生と行政が連携して企画した地震防災訓練がシェイクアウト(ShakeOut)の始まりです。

第1回のシェイクアウトは、初めてにも関わらず約540万人が参加しました。

その後も毎年のように拡大を続け、現在では省庁や地域の行政機関の後援を得て企画・開催されています。

SNSやニュースの影響でアメリカ合衆国外にも広く知れ渡り、世界各国でシェイクアウト訓練が実施されるようになっています。

MEMO

ShakeOut主催者の発表では、2012年の年間参加者数はアメリカ合衆国内外を含めて約2000万人に達し、個別の災害を対象とした防災訓練では世界一の参加者数とされています。

日本のシェイクアウト訓練

日本で初めてシェイクアウト訓練が開催されたのは、2012年です。

東京大学防災研究所の教授などが「日本シェイクアウト提唱会議(The Great Japan SakeOut)」を発足させ、2012年3月に東京都千代田区主催でシェイクアウト訓練が開催されました。

参加者の総数は、約25,000人と発表されています。

訓練の様子がSNSやニュースで広まったことで一気に知名度が向上し、日本全国の自治体、企業、大学などがシェイクアウトを企画・開催するようになっています。

シェイクアウトの参加者数

日本におけるこれまでのシェイクアウト参加者の総数は、日本シェイクアウト提唱会議で確認することができます。

  • 2015年:5,272,988人
  • 2016年:6,143,332人
  • 2017年:6,668,692人
  • 2018年:6,297,584人
  • 2019年:832,879人(2019年6月14日の公表数)

シェイクアウト訓練のやり方

シェイクアウト訓練は、「Drop(まず低く)、Cover( 頭を守り)、Hold on(動かない)」という合言葉どおりの動作をするだけです。

Drop(まず低く)

まず低く

「そのとき(シェイクアウトの合図があったとき)にいる場所」で地震が発生したと想定し、まずはその場で姿勢を低くします。

屋外にいる場合は、飛来物が当たるリスクが少ない場所を探します。

Cover(頭を守り)

頭を守り

落下物から頭を守るために、机やテーブルの下に潜り込みます。

屋外で潜り込む場所がない場合は、カバンなどで頭を守ります。

Hold on(動かない)

動かない

姿勢を低くして頭を守った状態で、揺れが収まるまでじっとしています。

防災コラム

地震による被害は、地震動(地震の揺れ)そのものよりも、揺れによって生じた家屋の倒壊、家具の転倒・落下・移動、落下物への接触などによるものが多くなっています。

 

また、地震でケガをした人の行動分析結果を見ると、その多くが地震発生直後に移動してケガをしていることが分かります。

 

シェイクアウト訓練で「Drop」、「Cover」、「Hold on」が重視されているのは、地震被害を最小限に抑えるために、地震発生直後は「姿勢を低くして、頭を守り、動かない」ことが大切だからです。

【家族の人数別防災セット】

家族の人数記事リンク
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2人2人家族用の防災セット
3人3人家族用の防災セット
4人4人家族用の防災セット
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シェイクアウト訓練に参加する方法

シェイクアウト訓練は、4つのステップに分けることができます。

ステップ内容
1.事前登録・参加を決める

・参加者登録する

2.事前学習

・参加意識を高める

・被害想定や災害対応について事前に学習する

・防災講義などに参加

3.訓練・指定日時に、そのときにいる場所で訓練に参加する
4.ふりかえり・主催者のウェブサイトやSNSを確認する

・参加者同士で話し合う

1.事前登録

シェイクアウト訓練の開催情報を検索し、開催通知の内容を見て参加するかどうかを検討します。

参加すると決めたら、開催告知ページから参加事前登録フォームにアクセスして登録します。

MEMO

全国各地で開催されるシェイクアウト訓練の情報は、日本シェイクアウト提唱会議のウェブサイトで確認することができます。

2.事前学習

勤務先や学校、自治会などで参加登録した場合、シェイクアウト訓練への参加意識や訓練の効果を高めるための事前学習が行われることがあります。

参加者内で勉強会が開催されることもあれば、防災の専門家に講義を依頼したり、生徒に対して教師が話をしたりするなど方法は様々です。

MEMO

私も、事前学習のための講義を依頼されることがあります。

 

依頼される主な内容は、過去に発生した大きな地震と被害、地震がライフラインに及ぼす影響、地震発生直後に取るべき行動、適切な避難行動などです。

3.訓練

開催通知に記載された日時になると、電子メールなどで訓練開始の合図が届くので、「そのときにいる場所」で「Drop」、「Cover」、「Hold on」を実行します。

また、訓練開始から5~10分後に緊急速報メールが送信されるので、受信できることを確認してください。

4.ふりかえり

勤務先などで参加した場合、訓練後にふりかえり会が行われます。

また、主催者のウェブサイトやSNSには参加状況や訓練の様子が掲載されます。

MEMO

家族や友人と一緒に参加した場合も、訓練について話し合っておくと、防災意識を高めることにつながります。

シェイクアウト訓練に参加するメリット

シェイクアウト訓練に参加することは、災害に備えるという観点から様々なメリットがあります。

適切に行動できる

シェイクアウト訓練の「Drop」、「Cover」、「Hold on」という3つの動作は、私たちが学校や職場の防災訓練で教えられるものと同じです。

シェイクアウト訓練と通常の防災訓練の違いは、「自発性」と「訓練する場所」です。

シェイクアウト訓練通常の防災訓練
自発性自発的受動的
訓練する場所そのときにいる場所主催者が決めた場所

通常の防災訓練は、学校や会社が主催する訓練に受け身で参加し、訓練する場所も内容も決められています。

一方のシェイクアウト訓練は、参加者が自らの意思で参加するので訓練へのモチベーションが高くなります。

また、合図が届いたときにいる場所で地震が発生した想定で訓練を行うので、自分の頭で考えて臨機応変に対応することになります。

訓練参加に対するモチベーションの高さと自分の頭で考えて行動することが、地震発生時の適切な行動を定着させやすいとされています。

短時間で終わる

通常の防災訓練は、地震発生の合図があり、身を守る行動をとり、安全な場所まで避難して、消防署職員の講評を受けるという一連の流れが決まっており、30分~1時間程度はかかります。

シェイクアウト訓練は、事前登録さえ済ませておけば、訓練自体は1分程度で終わります。

家にいても、会社で仕事をしていても、出張中でも手軽に参加できるのがメリットです。

防災意識の向上につながる

家族や友人と一緒にシェイクアウト訓練に参加して、参加後に防災について話し合えば、防災に対する意識が高まります。

シェイクアウト訓練の主宰者のFacebookやTwitterには、参加状況や訓練の様子が掲載されることが多く、それを見た人が「私も参加してみようかな。」と思うこともあります。

防災は、何かきっかけがあれば一気に「はまる」人が多く、何となく参加したシェイクアウトがきっかけで防災に目覚めて、防災セットを備えたり、防災士資格を取得したりした人は多いものです。

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まとめ

シェイクアウト訓練は、地震発生時に適切な行動をとるために効果的な防災訓練です。

自発的に参加登録して「そのときにいる場所」で訓練を行うので、Drop、Cover、Hold onという地震発生直後にとるべき行動が身につきやすく、防災意識の向上にも役立ちます。

しかし、シェイクアウト訓練はあくまで地震発生直後に身を守るための訓練です。

地震による被害を最小限に抑えるためには、各種防災セットを備えたり、自宅内の安全対策を講じたり、家族で被災時の行動を話し合ったりしておくことが欠かせません。

自分や家族の命を守るには、被災する可能性を想定して「役に立つ」防災セットを備えることが特に重要です。

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