- 本当に必要な最低限の14の防災グッズ
- あると便利な防災グッズ
「持出し用防災セットに何を入れておくか」についてはネット上に情報が溢れています。
でも、あるサイトで「必要」と書いてある防災グッズが、別のサイトでは「不要」とされているケースがあります。
行政や企業のサイトを見比べても大きな差があるので、「どの情報を信用すれば良いのか分からない」と困っている人がたくさんいます。
実は、持ち出し用防災セットに入れておく「本当に必要な最低限の防災グッズ」はごく限られています。
持ち出し用防災セットを備えるときは、まず「本当に必要な最低限の防災グッズ」を購入します。
それから家族構成などに応じて「備えておきたい防災グッズ」を揃えていけば、実用性の高い防災セットができあがります。
この記事では、一般家庭に最低限必要な防災グッズと、備えておきたい防災グッズについて解説しています。
目次
持出し用防災セットの中身リスト一覧
被災者の声を踏まえて防災関係者と話し合い、「最低限必要な防災グッズ14個」と「備えておきたい+αの防災グッズ」を選びました。
防災グッズ | 最低限必要 | 備えておきたい |
リュックサック | ★ 大人1人につき1つ | |
【ポイント】反射材(ショルダーベルト部、背後部)、防水機能付き、容量が20L以上、使用者の体格に合うもの | ||
保存水 | ★ 1人につき500mlを3本 | |
【ポイント】5~7年保存水 | ||
非常食 | ★ 1人につき3食分 | |
【ポイント】栄養補給を考慮しつつ、できるだけ好きなものを選ぶ | ||
スマホ | ★ 大人1人につき1つ | |
【ポイント】電話、ネット、ラジオ、懐中電灯、アラームなどを活用できる必需品。防災アプリをインストールしておく | ||
充電器 | ★ 大人1人につき1つ以上 | |
【ポイント】乾電池式充電器(乾電池)+モバイルバッテリー(防災ポーチに備えていない場合のみ)がベスト、できれば水充電器も | ||
手回し充電ラジオライト | ★ 1家庭に1つ | |
【ポイント】ラジオやライトとして使用(スマホ充電機能はおまけ) | ||
ホイッスル | ★ 1人につき1つ | |
【ポイント】同時に複数周波数が得て、大音量のもの | ||
簡易トイレ | ★ 1人につき5回分 | |
【ポイント】3回分で足りるという意見もあるが、災害時は頻尿になる人もいるので多めに | ||
ウェットティッシュ | ★ 1人につき1つ | |
【ポイント】ノンアルコール、無香料(低刺激)で大きいもの | ||
歯磨きシート | ★ 1人につき1つ | |
【ポイント】水がいらないタイプ、高齢者や乳幼児がいる場合は必ず備える | ||
水なしシャンプー | ★ 1家庭に1つ | |
【ポイント】250ml×1で足りる。衛生面と心の健康の維持のため | ||
タオル | ★ 1人につき1つ | |
【ポイント】圧縮タオルや手ぬぐいなど、かさばらないもの | ||
マスク | ★ 1人につき1つ | |
【ポイント】個包装で防塵効果が高いもの | ||
レインコート | ★ 1人につき1つ | |
【ポイント】セパレートタイプで動きやすいもの | ||
ヘルメット | ★ 1人につき1つ | |
【ポイント】折りたたみ式、子供用は必ず備える | ||
手袋 | ★ 1人につき1つ | |
【ポイント】軍手、作業用手袋や革手袋がベター | ||
スリッパ | ★ 1人につき1つ | |
【ポイント】足のケガ防止(防災ポーチに備えていれば不要) | ||
替えの衣類・下着 | ★ 1人につき1~2セット | |
【ポイント】季節に応じたもの、幼児がいる場合は下着を多めに | ||
ランタン | ★ 1家庭に1つ以上 | |
【ポイント】LED照明、持ち運び用とは別に準備(一部、兼用できる商品もある) | ||
アルミブランケット | ★ 1人につき1つ | |
【ポイント】防寒対策、身体がすっぽり収まるもの | ||
エアーマット | ★ 1人につき1つ | |
【ポイント】床に寝ても痛みがなく、冷えも防ぐ厚めのもの | ||
寝袋 | ★ 1人につき1つ | |
【ポイント】伸縮性、保温性が高いもの | ||
ゴーグル | ★ 1人につき1つ | |
【ポイント】粉塵などから目を守る、視力に合ったもの | ||
ウォーターバッグ | ★ 家族の人数×2~3L分(1日分) | |
【ポイント】力に自信がない場合は小さめのバッグを複数 | ||
トイレットペーパー | ★ 1家庭につき1つ | |
【ポイント】芯を抜いてつぶしておく、1巻あれば足りる | ||
救急セット | ★ 1家庭につき1つ | |
【ポイント】持病の薬も入れておく | ||
紙の食器・ラップ | ★ 1人につき1セット | |
【ポイント】紙の食器は折り畳み、ラップは箱を捨てる | ||
乾電池 | ★ 電気機器の数や種類による | |
【ポイント】防災リュックに空きがあれば多めに備えておく | ||
現金 | ★ 1家庭につき1万円程度 | |
【ポイント】千円札や小銭に分けて備える | ||
顔写真付きの身分証明書のコピー | ★ 1人につき1枚 | |
【ポイント】顔写真付きのもの |
現代の防災において、保存水や非常食に次いで重要な防災グッズは「スマホ」です。
スマホ一つあれば安否確認や災害情報の収集が簡単にできますし、ライトやラジオなど他の防災グッズの代わりにもなります。
しかし、「バッテリーがなくなると使えない」という弱点があります。
そこで、持ち出し用防災セットには充電器を備えておくことが重要になります。
手回し充電器を勧めるサイトが多いですが、手回しでスマホを充電するには相当の時間と体力が必要です。
そのため防災生活では、2台の充電器を備えることをおすすめしています
- 乾電池式充電池:長期保管が可能でスマホ以外にも使える
- スマホバッテリー:容量が大きく急速充電も可能
※モバイルバッテリーは、防災ポーチに備えている場合は不要です。
「ネットが使えなくなったらどうするの。」と思うかもしれません。
確かに契約キャリアの基地局などが被害を受けると、ネットが使用できなくなります。
しかし、災害発生時には00000JAPANなどの無料Wi-Fiサービスが開放されるので、ネットが全く使えなくなる心配は少なくなっています。
持ち出し用防災セットに最低限必要な防災グッズ14個
持ち出し用防災セットに入れておく「最低限必要な防災グッズ」は14個あります。
持ち出し袋 | リュックサック |
飲食物 | 非常食、保存水 |
スマホ関連 | スマホ、充電器 |
衛生用品 | 簡易トイレ、ウェットティッシュ、タオル、マスク |
防水・防寒 | レインコート、アルミブランケット |
その他 | ホイッスル、現金、顔写真付きの身分証明書のコピー |
どれが欠けても避難時や避難先で困る防災グッズばかりなので、忘れないように防災セットに入れておきましょう。
リュックサック
- 反射材がある(ショルダーベルトと背後)
- 防水機能がある
- 使用者の体格に合った大きさ
- 容量が20L以上
防災グッズを入れる持ち出し袋は、両手が空いて容量も大きいリュックサックを選ぶのが基本です。
手提げかばんやボストンバッグでは片手が塞がりますし、ウェストバッグやボディバッグ(ショルダーバッグ)では容量が小さすぎます。
反射材がある(ショルダーベルトと背後)
災害はいつ起こるか分かりません。
夕方や夜間に避難するときに、周囲の人や車に気づいてもらえるように反射材のついたリュックサックを選びます。
人や車はどこから来るか分からないので、少なくともショルダーベルトと背後の本体部分に反射材が付いたリュックサックを選びましょう。
反射材だけ購入してリュックサックに取り付けてもOKです。
防水機能がある
雨や雪が降る中を避難することを想定し、防水機能があるリュックサックを選びます。
防水スプレーや撥水スプレーをかける方法もありますが、「スプレーをかけ忘れた部分から水がしみこみ、防災グッズがだめになった。」という被災者もいます。
最初から防水機能のあるリュックサックを購入しておくのが無難です。
使用者の体格に合った大きさ
避難時には、リュックサックを背負って何kmも歩いたり、走ったり、障害物を乗り越えたりしなければならないこともあります。
使用者が無理なく背負うことができ、歩いたり走ったりしても疲れにくいリュックサックを選ぶことが大切です。
容量が20L以上
家族の中に高齢者や病気・怪我の人がいる場合、防災グッズの一部を健康な家族のリュックサックに入れることになります。
家族分の「最低限必要な防災グッズ」を入れることを想定し、少なくとも24L程度の容量がある防災リュックを選びましょう。
単身生活の場合はもう少し小さい容量でも足りますが、結婚や子供ができる可能性を考えて大きめのリュックサックを買っておいても無駄にはなりません。
高齢者にはキャスター付きリュックサック
お年寄り用の持ち出し用防災セットを作る場合は、キャスター付きリュックサックがおすすめです。
舗装された道路などはキャリーバッグとしてキャスターで転がし、障害物がある場所では背負って持ち歩くという使い分けができるので負担が軽くて済みます。
高齢者に限らず、女性や病気がちの人など体力に自信がない人用の持ち出し用防災セットをつくるときも、キャスター付きリュックサックを検討してみてください。
≪防災安全協会認定 3WAYキャリーリュック採用≫ ものずごい防災セットシリーズ
非常食
- 軽くてかさばらないもの
- 栄養バランスが良いもの
- 好きなもの
持ち出し用防災セットには、最低限の防災グッズとして約1日分の非常食を入れておきます。
ご飯やパン、カロリーメイトなどのバランス栄養食を入れ、容量に余裕があればおかずやお菓子を入れます。
軽くてかさばらないもの
非常食は「軽くてかさばらない」のが基本です。
リュックサックの容量を踏まえ、レトルト食品、乾パン、カロリーメイトなどを入れておきます。
栄養バランスが良いもの
災害発生時には、病院に行くことも薬を入手することも難しいことが多く、体調管理には十分に気を配らなければなりません。
そのため非常食についても、栄養バランスが良くて安全なものを選ぶことが大切です。
好きなもの
「食べること」はストレスの低減になります。
災害という非常事態では心安らぐときがほぼありませんが、「好きなものを食べる」ことで一瞬でもストレスが和らぎ、リラックスできることがあります。
優先すべきは「軽くてかさばらない」ことと「栄養バランス」ですが、好きなものを選ぶという視点も持っておきましょう。
アレルギーがある人は、必ずアレルギー食品が含まれない非常食を備えてください。
過去の災害を確認すると、被災者が非常食を食べてアレルギー反応を起こしたケースがたくさん報告されています。
避難所や避難場所では、アレルギー反応が出た場合に十分な対応をするのが困難なので、アレルギー食品が含まれない非常食を備え、自衛に努めることが大切です。
支給された非常食にアレルギー食品が含まれる可能性もあるので、食べる前に必ず確認してください。
アレルギー食品含まれる場合、含まれない食品と取り換えてもらいましょう。
保存水
- 市販の水ではなく長期保存水を選ぶ
- 備えすぎない
保存水は、約1日分を持ち出し用防災セットに入れておきます。
市販の水ではなく長期保存水を選ぶ
「市販のペットボトルの水を備えておこう。」という人が多いですが、市販のペットボトルの水は賞味期限が1年から1年半程度と短く長期保存には向きません。
「賞味期限が過ぎても、開封しなければ問題ない。」と思うかもしれません。
しかし、ペットボトルの原材料であるポリエステルには一定の気体透過性があります。
これにより、未開封でも時間の経過とともに酸化したり臭気が入り込んで水が劣化します。
そのため、5~7年程度の保管ができる長期保存水を備えることが大切です。
備えすぎない
経験上、「多いに越したことはない」と考えて、持ち出し用防災セットの中に水を入れすぎてしまう人が少なからずいます。
極端なケースでは、防災セット用とは別に水用の防災リュックを備えていた人がいました。
確かに水がないと生きていけないので、たくさん備えておきたいという気持ちはわかります。
しかし、水ばかり入れて他の防災グッズがリュックサックに入らなくなったり、災害発生時に重すぎて持ち出せなくなったりするのでは意味がありません。
備蓄品として保存水を多めに備えるのはOKですが、持ち出し用防災セットには1日分を目安にして備えるようにしましょう。
保存水については、別の記事で詳しく解説しています。
スマホ
- 防災アプリのインストール
- 省電力設定
おそらく、多くの人が日常生活の中でスマホを持ち歩いているので、あらためて「防災グッズとして備える」必要はないかもしれません。
しかし、被災することを想定し、災害発生時に有効活用できるように、アプリをインストールしたり省電力設定にしたりしておくことは大切です。
防災アプリのインストール
防災アプリとは、災害に関するニュースや情報を入手するなど防災に役立つアプリのことです。
例えば、Yahoo!防災速報やNHKニュース・防災といった災害情報の通知を受け取れるアプリがあります。
また、東京都防災アプリのような知識提供型、ゆれくるコールのような地震に特化したアプリもリリースされています。
地域の特性や家族構成などを踏まえ、被災時に利用できそうなアプリをインストールして平時から使い慣れておきましょう。
省電力設定
スマホの弱点はバッテリーの持ちの悪さです。
災害時には防災アプリ、ネット、ラジオ、ライトなどスマホの様々な機能を使用するので、あっという間にバッテリーがなくなります。
少しでも長くスマホを使えるよう平時から省電力設定にしておくか、災害時に切り替えられるよう設定方法を理解しておくことが大切です。
充電器
- 乾電池式充電器とスマホバッテリーを備えるのが基本
- 水を使って充電する器具を備える
- 手回し充電器はおまけ
災害時にスマホを長く使用するには、充電器を備えておくことが必要不可欠です。
乾電池式充電器とスマホバッテリーを備えるのが基本
防災グッズとしては、乾電池式充電器とスマホバッテリーの2つを備えるのが基本です。
乾電池式充電器は、乾電池も含めて保存しておける期間が長く、防災セットに長期間入れておくことができますし、電池さえあればスマホ以外の電子機器も充電できます。
一方で、充電に時間がかかることや、容量が小さくフル充電できないというデメリットがあります。
スマホバッテリーは、スマホを短時間でフル充電(危機によっては2回フル充電)できますが、あらかじめ充電しておかなければなりませんし、自然放電も起こります。
そのため、乾電池式充電器とスマホバッテリーの両方を備えておくことが重要になります。
水を使って充電する器具を備える
水を使って充電する防災グッズも備えておくと安心です。
以前から、企業や官公庁用の防災グッズとして水を使った充電器が販売されていましたが、大型で重いので一般家庭で備えるのは現実的ではありませんでした。
しかし現在は、持ち運びできてスマホを短時間で充電できるタイプの充電器が販売されており、防災グッズとして注目されています。
やや大きいのが難点ですが、充電速度はコンセント並み、フル充電可能、長期保管可能とメリットが多いので、余裕があれば持ち出し用防災セットにも備えておきたいところです。
手回し充電器はおまけ
防災グッズに関する記事を見ていると、手回し充電器(ラジオやライトに手回し充電機能が付いたもの)を勧めているところが多いです。
しかし、実際に使ってみればすぐ分かりますが、手回し充電器で充電するには相当な労力と時間がかかります。
例えば、スマホで2~3分通話するための電力を得るために1分は回し続けなければなりません。
被災して心体ともに疲れ切っている状況で、わずかな電力を得るために延々と充電器を回し続けるには、強靭な精神力と底なしの体力が必要です。
簡易トイレ
- 5回分は備える
- 女性や高齢者、子どもがいる家庭は多めに備える
災害が発生すると、断水や故障によって自宅のトイレが使用できなくなることがあります。
避難所に仮設トイレが設置されるまでにも、それなりに時間がかかります。
そのため簡易トイレの備えは必須です。
5回分は備える
持ち出し用防災セットは、被災後1日分の防災グッズを入れておくのが基本なので、簡易トイレも1日分として5回分を備えておきます。
この記事を書くに当たり、企業で防災関連業務に携わる友人らと話をしたところ、簡易トイレは「3回分で足りる」という意見がありました。
確かに、自分の経験や被災者の声を踏まえると3回分あれば十分なことが多いですし、市販の防災セットでも3回分の簡易トイレが入っているものが多いです。
しかし、災害発生時にはストレスからトイレのリズムが乱れる人が少なからずおり、多めに備えておく方が安心だと考えて5回分としています。
女性や高齢者、子どもがいる家庭は多めに備える
仮設トイレが設置されても、女性のトイレには長蛇の列ができます。
また、足腰の弱い高齢者や子供は仮設トイレで用便を足すのが難しいこともあります。
そのため、女性や高齢者、子どもがいる家庭では、簡易トイレを多めに備えておくことをおすすめします。
ウェットティッシュ
- ノンアルコール
- 無臭
被災直後は入浴、洗顔、歯磨き、手洗いなどができないことが多いので、衛生管理のためにウェットティッシュを備えておく必要があります。
ノンアルコール
ウェットティッシュは、手だけでなく顔や口を拭いたり、赤ちゃんの身体を拭いたりすることもあります。
刺激が少ないノンアルコールのものを備えましょう。
無臭
同じ理由で、無臭のウェットティッシュを備えておきます。
被災者の中にはウェットティッシュのにおいが鼻につくという人も多いので、他の被災者への配慮という意味でも無臭のものを選びましょう。
タオル
- 薄いもの
雨に降られて濡れた体を拭いたり、防寒用に首に巻き付けたりして使用します。
薄いもの
防災グッズとして適しているのは、かさばらない薄いタオルです。
手ぬぐいも便利ですが、さらにかさばらないのが圧縮タオルです。
マスク
- 使い捨てのマスクを備える
地震などの自然災害が発生した場合、町中が粉塵が舞うので、口を覆うマスクは欠かせません。
また、避難所や避難場所における感染症予防にも役立ちます。
避難時や避難所ではノーメイクのことが多いので、素顔を隠せるというメリットもあります。
2020年にコロナウィルスが流行してマスクが品薄になりました。
防災セットや備蓄品にマスクを備えておけば、病気が流行したときにも役立てることができます。
災害は何も地震や津波のような天災だけに限らないので、常に様々な脅威を想定して備えておくことは大事です。
使い捨てのマスクを備える
マスクは、何度も使えるものと使い捨てのものがあります。
何度も使えるものは効果が高いですが、災害時には粉塵や煙ですぐにマスクが汚れてしまうので、こまめに取り換えることが大切になります。
使い捨てのマスクを1パック購入しておいて、家族で使うようにすると便利です。
箱から出し、中身だけをビニールシートに入れておくとかさばりません。
レインコート
- 動きやすいもの
- 傘よりもレインコート
雨や雪の中を避難することを想定し、レインコートも備えておきます。
雨や雪は想像以上に体力を奪っていきますし、体力がなくなると気持ちもネガティブになっていくので、忘れずに備えてください。
動きやすいもの
被災者の多くが「備えていたが使い勝手が悪かった」と口をそろえるのが、100円均一やコンビニで購入したレインコートです。
100円均一のレインコートでも雨や雪を防ぐ効果はあります。
しかし、ペタペタと引っ付いて動きにくく、ボタンの付け外しなどでも簡単に破れてしまいますし、ワンピースタイプだと足元がびしょぬれになってしまいます。
そのため、生地が厚めで動きやすいレインコートをおすすめします。
傘よりもレインコート
傘は、「避難生活中に日傘として使えて便利だった。」という声もあります。
しかし、傘をさすと片手が塞がってしまうので避難行動には向きません。
アルミブランケット(アルミシート)
- 全身を覆うことができるもの
アルミブランケットは、「①薄くて②軽くて③暖かい」という特徴を持つ防寒グッズの定番で、最低限必要な防災グッズの一つです。
衣類椰布団と違ってかさばらないので、持ち出し用防災セットにも簡単に収まります。
全身を覆うことができるもの
アルミブランケットはアウトドア向けを中心として様々な商品が販売されており、商品によって大きさが異なります。
防災グッズとして備える場合は、使用者の頭と体がすっぽり収まる大きさを選ぶのが基本です。
大きすぎると使い勝手が悪く、小さすぎると十分な防寒効果が期待できません。
ホイッスル
- 人の耳に聞こえやすい音
- 複数の周波数の音を同時に出す
防災業界では「最も重要な防災グッズ」ともいわれるホイッスルですが、防災講義の中で紹介すると、「なぜホイッスルが必要なのか。」と首をかしげる人が未だに一定数います。
ホイッスルを使うのは、災害発生時に家屋やがれきの下敷きになってほとんど身動きが取れず、声を出すこともできなくなったときです。
防災用のホイッスルは遠くまで音が届くように作られているので、より多くの人に救助を求めることができ、救出してもらえる可能性が高くなります。
人の耳に聞こえやすい音
音には聞こえやすい音と聞こえにくい音があります。
ホイッスルを選ぶときは、人の耳に聞こえやすい音が出るものを選ぶことが大切です。
複数の周波数の音を同時に出す
複数の周波数の音を同時に出すことで、より周囲の人に気づいてもらいやすくなります。
そのため、単一ではなく複数の周波数の音を出すホイッスルを選ぶようにしましょう。
数千円するホイッスルもありますが、コスパが良いのはコクヨの防災用救助笛です。
近年は、電子ホイッスルを備える人が増えています。
電子ホイッスルは、①手に持って②ボタンを押すだけで大きな音が鳴ります。
①手に取り、②口に近づけ、③吹くという3ステップ必要なホイッスルよりも簡単に音を出せるのです。
通常のホイッスルより価格が高いですが、大音量の商品も廉価で販売されています。
より万全を期すなら電子ホイッスルを備えることを検討してみてください。
私は通常のホイッスルを使用していますが、防犯対策も必要な妻には電子ホイッスルを渡しています。
現金
- 千円札と小銭
災害発生時にも現金が必要になることがあるので、1家族につき1万円程度は防災セットに入れておきましょう。
千円札と小銭
災害時に現金を使う場合、相手がお釣りを持っていないことが多いです。
そのため、防災セットに入れておく現金は、1万円札ではなく千円札や小銭にしておきましょう。
被災者に話をお聞きすると、「現金を備え忘れて困った」という方がかなりおられます。
「災害発生時にも財布は持ち出すだろうから、わざわざ備えるまでもないかなと思った。」、「災害時は現金が使えないだろうと思った。」という方も少なくありません。
しかし、災害の規模によりますが、災害発生時にも開いている店はあります。
また、被災地の外まで行けば普通に買い物ができます。
被災したときに、食べ物や水、その他の防災グッズなどを購入するときは現金を使うので、1万円程度は備えておきたいところです。
「必要なら引き出せばいい」と思っている人もいますが、近くのATMが災害の影響で使用できなくなることもあるので、現金の備えは必要です。
顔写真付きの身分証明書のコピー
災害時に使う頻度が高いのに備え忘れている人が多いのが、顔写真付きの身分証明書です。
東日本大震災などの大規模災害が発生すると、顔写真付きの身分証明書(またはコピー)を提示すれば口座の預貯金を引き出すことができる特例措置が多くの銀行で実施されました。
身分証明書を常に防災セットに入れておくわけにはいかないので、コピーを備えておきます。
なお、罹災証明書の発行をはじめとする災害支援制度の申請でも身分証明書の提示を求められます。
災害発生時には、避難所などに多くの人がごった返します。
平時なら顔見知りの人が周りにいてくれますが、被災時には自分のことを知っている人がいない状況に置かれることもあります。
そうなると、身分証明書以外に自分が自分であることを証明できず、各種手続きを勧められなくなる可能性が出てきます。
そのため、少なくとも1つは顔写真入りの身分証明書のコピーを備えておきましょう。
備えておくのは、運転免許証、パスポート、マイナンバー個人番号カード、住民基本台帳カードなどのコピーが一般的です。
備えておきたい+αの防災グッズ
最低限必要な防災グッズに加えて備えておくことで、安全に避難行動ができ、避難所でも1~2日程度なら安心して過ごすことができます。
充電器 | 手回し充電ラジオライト |
衛生用品 | 歯磨きシート、水なしシャンプー、 |
避難用品 | ヘルメット、手袋、スリッパ、ゴーグル、 |
避難生活用品 | 替えの衣類・下着、ランタン、エアーマット、ウォーターバッグ、トイレットペーパー、救急セット、紙の食器・ラップ、乾電池 |
手回し充電ラジオライト
- 本体蓄電型を選ぶ
- 機能が多いものを選ぶ
手回し充電器は充電器としては使いにくいですが、ラジオやライトなど他の機能を使うには便利です。
1分間の充電でラジオが5~10分間、LEDライトが15~20分間くらい使用できる商品が使いやすいでしょう。
手回し充電ラジオライトには本体蓄電型とそうでないものがありますが、備えておきたいのは蓄電型です。
本体蓄電型でないものは、一定の速さで回し続けている間しか充電できないので疲れます。
充電した電気を本体に蓄え、使いたいときに使用できる本体蓄電型を選びましょう。
市販の防災セットには、スマホ充電用の防災グッズとして手回し充電ラジオライトが入っているものが多いです。
ラジオやライトとしては高機能ですが、スマホの充電器として備えるには心もとないです。
手回しを1分間続けてスマホで話せるのは数分で、被災時に黙々と手回しを続けるのは心身ともに疲れます。
スマホ充電機能はおまけだと考え、別に購入することをおすすめします。
防災関係者の間では、手回し式充電器が充電に役立たないことは常識です。
被災経験がある人も、役に立たないことを身をもって体験されています。
しかし、防災初心者で被災経験もない場合、防災メーカーや防災関連サイトがしきりに手回し式充電器を勧めるのを信じて購入してしまいがちです。
防災ビジネスとして防災関係者の間で問題視されていますが、未だに具体的な対策は講じられておらず、この記事のように草の根で警鐘を鳴らす程度のことしかできていません。
この記事を読まれた方は、是非、充電器には手回し充電器以外(乾電池式やモバイルバッテリーなど)を備えるようにし、周りの方にも教えてあげてください。
歯磨きシート
- 歯磨きと歯磨き粉ではなく歯磨きシートを備える
被災時は、断水などの影響で水を手に入れにくくなります。
備えておいた保存水や支給される水は飲み水に回せるよう、歯磨き用に水のいらない歯磨きシートを備えておきましょう。
「歯磨きと歯磨き粉を備えていたが、口をすすぐ水がなく気持ち悪かった。」、「飲み水の確保さえ難しい状況で、歯磨きのために水は使えなかった。」という被災者は少なくありません。
「歯なんて数日磨かなくても大丈夫だろう。」という人もいるかもしれませんが、お口の中が汚れると体調にも悪影響が及びます。
特に、高齢者や幼い子供の場合、避難生活中にお口のケアを怠って感染症にかかるリスクが高いです。
命に関わるケースもあるので、口腔衛生には気を配りましょう。
実際のところ、口腔環境の悪化が原因で体調を崩し、感染症にかかって死亡するケースが報告されています。
「非常時に口のケアなんて」と思わず、平時と同じようにケアできるように備えておきましょう。
水なしシャンプー
- 1家庭につき1つ
1~2日髪を洗わなくても体調を崩すことはありません。
しかし、髪のベタツキ・ニオイ・かゆみは人に不快感をもたらします。
不快感はストレスになり、被災して疲れ切った心をさらに追い詰めます。
被災して強いストレスがかかる状況下では、少しでもストレスを減らすことが心のケアには重要です。
髪によるストレスを減らすために、1家庭に1つは水なしシャンプーを備えておきましょう。
水なしシャンプーは、貴重な水を使わず、泡や水が飛び散ることもないので、周囲の目をあまり気にせず使うことができます。
ヘルメット
- 通常タイプ
- 使用者の頭のサイズに合ったもの
ヘルメットは、避難時にガレキやガラス、石、木の枝、看板、火山灰などから頭を守るための防災グッズです。
台風や大雨、地震などの自然災害が発生すると、風に乗って様々な危険物が飛んでくるので、頭を守るためにヘルメットをかぶって避難行動をとることが大切です。
各人の頭のサイズに合ったものを全員分備えておきましょう。
持ち運びが便利で折り畳み式ヘルメットもありますが、自宅からかぶるのであれば通常タイプのヘルメットで十分です。
最近は、大規模災害が相次いだ影響で防災ビジネスが活況です。
元々は別の用途で開発・販売されていた商品を防災グッズとして販売したり、効果検証が不十分なまま防災用品として販売したりするケースも報告されています。
こうした問題が特に目立つのが、折り畳み式ヘルメットです。
防災ブームに乗じて各メーカーが折り畳み式ヘルメットを開発・販売していますが、中には一定の基準を満たさないものも混じっており、故障や破損の報告が相次いでいます。
しかし、そうした商品でも個人のブログやサイトに「おすすめ商品」として掲載される例があり、問題となっています。
購入するときは、素人の口コミやレビューに惑わされることなく、商品の公式サイトを確認して十分に検討するようにしてください。
手袋
- 作業用手袋がベター
手袋は、避難時にガレキやガラスから手を守るために使用します。
軍手を備えるのが一般的ですが、作業用手袋や皮手袋の方が破れにくいです。
地震発生時などは、室内にも割れたガラスやお皿が散乱するので、避難前から手袋をして行動した方が安全です。
リュックサックの奥にしまい込むと取り出しにくいので、外側の網ポケットにスリッパと一緒に入れておくか、外側にくくり付けておきます。
手を守る防災グッズとして一般的な軍手ですが、ガレキが刺さったり破れたりしやすく、安全性は思っているほど高くありません。
実際のところ、軍手をした状態でガレキやガラスを触ってケガをするケースは災害のたびに多数発生しています。
皮手袋や作業用手袋を備えておきましょう。
スリッパ
- 厚底のスリッパ
スリッパは、室内や避難所で足の裏を守るために使用します。
安心なのは厚底のスリッパですが、防災グッズとして備えるにはかさばるので、使い捨ての薄いスリッパでもかまいません。
例えば、ホテルのスリッパやトイレ用のスリッパなどを備えておきます。
手袋と同じく家の中でも使うことを想定し、リュックサックの外側の網ポケットに入れておくのが基本です。
ゴーグル
- 視力に応じて度付きレンズを使う
災害発生時は、粉塵や煙、ガラスや木の破片、火山灰など様々なものが風に乗って飛んでくるので、目を守るためにゴーグルを備えておきます。
防災用の本格的なゴーグルも販売されていますが、高額なものが多いので、花粉対策用のメガネで代用しても問題ありません。
視力が弱い人は度付きのレンズを使用するか、メガネの上からかけられるゴーグルを使用してください。
替えの衣類・下着
- 衣類は着込まない
- 替えの下着は1人につき2着
衣類はかさばりますし、防寒対策はアルミブランケットなどの防災グッズで十分なので、替えの衣類や下着は必要最低限に抑えることが大切です。
持ち出し用防災セットには約1日分の防災グッズを備えるので、上着とズボンは1着ずつ、下着は1~2着リュックサックの中に入れておきます。
「上着は着込んで持ち出す」という意見もあります。
以前は、防災の授業や講義でも「荷物を減らすために上着は着込みましょう」と教えている人がたくさんいました。
確かに、晴天時なら着込んで持ち出した方が他の荷物も持てて便利でしょう。
しかし、降雨時や降雪時に着込んで持ち出すと衣類が濡れてしまい、避難所などで着替えるものがなくなってしまいます。
そのため、基本的には防災リュックに入れて持ち出すようにしましょう(最近は、衣類を着込んで持ち出すことは推奨されなくなっています。)。
ランタン
- LED
- 乾電池式
- マルチパネル
防災グッズとしてのランタンは、明るく長持ちするLEDランプが付いた乾電池式を備えます。
おすすめは、マルチパネル式(何枚もパネルがついているもの)で、パネルの取り外しができるものです。
ランタンとして使用するときは室内などを十分な明るさを確保できますし、パネルを取り外せば簡易ライトとして持ち歩くことも可能です。
オプションとしてスマホ充電機能が搭載されていれば、モバイルバッテリーや乾電池が底をついたときに使えます。
「明るさ」は、被災したときの精神衛生上とても重要な意味を持ちます。
自宅避難をするにしても避難所で過ごすにしても、夜でも明かりが確保されていると気持ちをリラックスさせることができます。
一方で、暗闇の中で過ごすと、被災直後の状況がフラッシュバックしたり、いつまた被災するか分からない不安に駆られたりしますし、暗闇そのものにも怖さや不安を募らせてしまいがちです。
特に、小さな子供の場合はそうした傾向が顕著で、大きな精神的ダメージを受けて日常生活に支障が出ることもあるので、十分な明かりを確保しておくことが大切です。
エアーマット(エアーマットレス)
- 膨らませやすい
- 破れにくい
エアーマットは、空気の浮力で体圧を分散することにより、同じ部位に圧迫がかかるのを防ぐことができるマットです。
支援物資不足が慢性化する避難所は多く、避難後しばらくは敷布団が支給されないこともあります。
エアーマットがあれば敷布団の代わりに使うことができ、日中も地べた(またはシートの上)に直に座らずに済みます。
エアーマットを選ぶときのポイントは、「膨らませやすさ」と「破れにくさ」です。
エアーマットには独特のゴム臭さがあり、慣れるまではニオイが気になることがあります。
購入後、一度は出して使っておくのがおすすめです。
寝袋
- コンパクト
- 保温性
- 伸縮性
エアーマットと同じく避難所での睡眠に欠かせないのが寝袋です。
防災グッズとして必要なのは、コンパクトに収まることと、保温性と伸縮性があることです。
簡易寝袋は、コンパクトで防災リュックに入るというメリットがありますが、結露しやすく床の冷たさも伝わりやすいという弱点もあります。
寒さ対策として、エアーマットと合わせて購入することをおすすめします。
また、簡易寝袋は、あくまで災害発生から1日程度だけ使うことを想定しています。
避難生活でも引き続き使用したい場合は、備蓄品としてアウトドア用の寝袋を備えるようにしてください。
簡易寝袋で何日も寝ると、身体の節々が痛くなり、体調を崩してしまうこともあります。
私の場合、災害ボランティアで被災地に滞在したときに3日間使用しましたが、2日目から身体が痛くなりました。
商品にもよると思いますが、ごく短期間の使用を想定していることは頭に入れておきましょう。
被災者の中には「寝袋は備えていたけど使わなかった。」という人が少なからずいます。
確かに、災害が発生した地域、季節、物資の供給具合などによっては、寝袋を使わずに済むことがあります。
例えば、災害が発生したのが温かい季節で、直後から布団などが支給された場合などは、エアーマットと布団があれば快適に眠ることができることが多いものです。
しかし、地域や季節に関わらず冷え込むことはありますし、災害発生から何日も布団が支給されないこともあります。
そのため、避難所で最低限の睡眠環境を確保するために、寝袋は備えておくべきだと思います。
ウォーターバッグ
- 折り畳み式
ウォーターバッグは、給水車から水を入れるために使用します。
保存水のペットボトルでも代用できますが、ウォーターバッグの方が容量が大きく持ち運びもしやすいので、備えておくことをおすすめします。
防災グッズとして備えるのは、一般家庭で使用するボトルタイプではなく、折りたたんでコンパクトに収納できるタイプです。
ウォーターバッグは、自宅避難をする時にも役立ちます。
「自宅避難中は水道を使えば良いじゃないか」と思うかもしれませんが、災害の影響で断水することがあります。
特にマンションの高層階は断水しやすく、断水が何日~何週間も続くことがあります。
停電でエレベーターが止まることもあるので、まとまった量の水を持ち運びできるウォーターバッグは必需品です。
トイレットペーパー
- 芯を抜く
トイレットペーパーは、芯を抜いて押しつぶしてからリュックサックに入れると、かさばらずに済みます。
トイレ以外でも使うところが多いので、1家庭につき1ロールは備えておきましょう。
避難前に細かく分けてズボンのポケットに入れておくと、すぐに取り出せて便利です。
救急セット
- ウェストポーチ
- 薬も入れておく
家庭に備え置く救急セットはプラスチックケースが多いですが、防災グッズとして備える場合はポーチを使用します。
怪我をしたときの救急セットの他、風邪薬や持病の薬も入れておきます。
- 救急セット:消毒液、絆創膏、ガーゼ、包帯、ハサミ、ピンセット、マスク、体温計など
- 薬:頭痛薬、解熱剤、胃腸薬、目薬、湿布、持病の薬など
薬の瓶や箱はかさばるので、2~3日分をビニールのパケット(小さいビニール袋)に入れておきましょう。
紙の食器・ラップ
- 紙の食器は折りたたみタイプ
- 小さめのラップを中身だけ備える
避難所では水が自由に使いづらいので、洗い物はなるべく減らさなければなりません。
そのため、食器にラップを巻いて使い、食後はラップだけ捨てて食器は繰り返し使うようにします。
食器については、陶器製やプラスティック製だとかさばりますし、割れてしまうこともあるため、紙製で折りたためるタイプのものを備えます。
ラップは外箱を捨てておき、使うときは救急セットのハサミでカットします。
乾電池
- 電気機器の数や種類を踏まえて決める
充電器やラジオライト、ランタンなどの電気機器を使用するには乾電池が欠かせません。
備える量は、電気機器の数や種類を踏まえて決めますが、防災リュックに空きがあれば、できるだけ多く備えておくと安心です。
乾電池は備蓄品としても備えておきますが、自宅の倒壊などで備蓄品が使えなくなる事態を想定し、持ち出し用にもできるだけ入れておきましょう。
なお、「乾電池はいつまでも備えておける」と思っている人がいますが、誤解です。
乾電池には使用推奨期限が設定されており、その期間内に使用しないと性能低下や液漏れを起こす可能性があります。
他の防災グッズの賞味期限などを確認するときは、乾電池の使用推奨期限も確認し、期限が近ければ交換するようにしましょう。
「被災したときに、備えておいた乾電池を使おうとしたら液漏れしていた。」という話は、被災者の方から良くお聞きします。
くれぐれも期限切れのまま放置しないよう注意してください。
コストと信頼性を重視するなら「市販の防災セットの購入+α」
安さにこだわって防災グッズを揃えてみると、何となく頼りない防災セットができあがります。
私は以前、実際に安さにこだわって集めた防災グッズを使ってみたことがありますが、レインコートは2日で破れ、エアーマットは1日寝たらつぶれて厚みがなくなりました。
一方で、1つ1つの防災グッズを丹念に選ぶと、家族のニーズに合った使いやすい防災セットができあがりますが、驚くほど費用がかかります。
市販の防災セットなら高くても1~2万円前後で購入できますが、自作してみたところ5万円弱もかかり、家族のひんしゅくを買ったことがあります。
性能にこだわりだすと良い製品がいくらでもあるので、ついつい高い物を購入してしまうんですね。
また、防災に詳しくない人の場合、「素人の自分が集めた防災グッズが、本当に災害発生時に役に立つのだろうか。」という不安を感じることもあるようです。
そのため、防災生活では、防災メーカーが開発した信頼性の高い防災セットを購入し、家庭の状況に応じて必要な防災グッズを買い足していくことをおすすめします。
防災メーカーの防災セットには、過去の災害や被災者の声など膨大なデータを踏まえて厳選された「本当に必要な防災グッズ」が入っています。
入っている防災グッズ一つひとつも、素人では気づかないところまで考えて設計されており、使いやすいものばかりです。
また、防災セットという1つの商品として売り出されているので、コストパフォーマンスも優れています。
もちろん、近年の防災ブームに乗っかっただけの防災セットも見かけますが、防災生活では、防災セットの中身を吟味しながら災害への備えに役立つものだけを紹介するようにしています。
市販の防災セットは、信頼性や実用性が高いものが多いですが、購入してそのまま備えておけるわけではありません。
最低限必要な防災グッズが不足しているセットもありますし、家家族一人ひとりのニーズに応じた防災グッズを買い足す必要もあります。
例えば、赤ちゃんがいればベビー用品を、女性なら生理用品などを買い足さなければなりません。
防災セットを購入したら、必ず中身を確認し、家族のニーズに応じて必要な防災グッズを買い足しましょう。
「市販の防災セットの購入+必要な防災グッズの買い足し」で初めて「災害時に役立つ防災セット」ができあがります。
市販の防災セットの選び方
防災ブームの影響で各メーカーが様々な防災セットを販売しているので、どれを選ぶか悩んでしまう人も多いでしょう。
防災生活では、「信頼性」、「実用性」、「コストパフォーマンス」の3点を重視して、性別や年齢、家族構成に応じたおすすめの防災セットを紹介しています。
性別・年齢・家族構成 | 詳しい記事へのリンク |
女性 | 女性用防災セット |
高齢者 | 高齢者用防災セット |
赤ちゃんがいる | 赤ちゃん用防災セット |
子供がいる | 子供用防災セット |
障害のある人がいる | 障害者用防災セット |
必要になる防災セットは、家族の性別や年齢、健康状態や障害の有無によって異なります。
市販の防災セットは、健康な若い男女が使用することを前提として開発されているものが多いので、家族の状態に応じてセットの中身を出し入れすることも検討しましょう。
上記のリンク先では、市販の防災セットをベースに、家族の状態に応じて追加する防災グッズについて解説しています。
災害が異常事態ではなくなりつつある
近年、大規模な地震が頻繁に発生し、梅雨時から台風シーズンにかけては毎年のように記録的な大雨が降って大きな被害をもたらしています。
他にも様々な災害が身近で発生しています。
こうした状況を踏まえ、「災害=異常事態」という認識を改めなければならないように思います。
行政や大企業は防災に力を入れており、BCPや防災備蓄、防災広報などは数年前と比べて飛躍的に向上しています。
しかし、一般家庭に目を向けると、防災グッズを備える習慣がなく、被災して初めて「備えておけば良かった」と後悔する人が少なくありません。
行政などの防災がいくら進歩しても、個人の防災意識や実践が今のままでは、大規模災害が発生したときに大きな被害が出てしまう可能性は高いと言わざるを得ません。
また、行政などによる支援(公助)には限界があり、個人の「自助」や地域の「共助」の向上が求められています。
つまり、「自分の身は自分で守る」という意識を持ち、そのための備えをしておく必要があるのです。
防災セットを備えるというのは、「自分の身は自分で守る」第一歩です。
ある程度の費用と時間と手間がかかりますが、いざというときのために平時のうちから購入しておきましょう。
まとめ
「持ち出し用防災セットに何を備えるか」は、防災意識の高さ、家庭の有無、経済力などによって一人ひとり異なりますが、災害に備えることの重要性は誰でも同じです。
災害を自分とは関係ないものと思わず、「自分や家族が被災するかもしれない」と考えて、防災セットを備えておきましょう。
特に、家族ができて守るものが多くなると、災害に備えることの重要性は高くなっていきます。
いざというときに家族の命を守るために、家庭状況に応じた防災セットを備えておきましょう。