災害への備えを日常に!防災グッズをもっと身近に!

台風対策におすすめの防災グッズを防災士が解説!過去の台風被害と備える方法も紹介

台風 防災グッズ

この記事で分かること
  • 2000年以降の主な台風の被害状況
  • 台風対策に役立つ防災グッズ

日本では、毎年7月~9月頃にかけて台風が接近・上陸し、防風、大雨・豪雨、土砂災害などで大きな被害が発生します。

台風被害から身を守るには、平時から台風対策として防災グッズを備えておくことが大切です。

MEMO

台風は、到来する時期がある程度決まっており、接近・上陸する時期もニュースなどで把握できるので、対策をしやすい災害です。

 

シーズンになる前に台風対策用の防災グッズを準備しておくことで、被害を防止または最小限に抑えることができます。

台風対策用の防災グッズ

台風対策に役立つ防災グッズは、以下のとおりです。

レインコート降雨時に避難するため
土嚢住宅の床上浸水を防ぐため
止水版住宅の床上浸水を防ぐため
段ボール箱・ゴミ袋水嚢(すいのう)を作るため
ガラス飛散防止フィルム割れたガラスの飛散を防止するため
脱出ハンマー車載用

基本的には、大雨・豪雨時に役立つ防災グッズと同じです。

大雨・豪雨時に役立つ防災グッズについては、別の記事で詳しく解説しています。

大雨・豪雨・浸水対策の防災グッズのおすすめリスト一覧!選び方を防災士が解説

注意

この記事で紹介するのは、台風が接近・上陸した場合に役立つ防災グッズです。

 

持ち出し用防災セットや備蓄品を備えた上で、台風対策として追加で買い足すことを想定しています。(持ち出し用防災セットに備えてあるものは兼用可能)。

持ち出し用防災セットに備える防災グッズについては、別の記事で詳しく解説しています。

持ち出し用防災セットの中身リスト一覧!最低限必要な防災グッズを防災士が徹底解説

レインコート

レインコートは、降雨時に避難するときに使用する防災グッズで、持ち出し用防災セットにも「最低限必要な防災グッズ」として備えるものです。

台風が接近・上陸すると、大雨・豪雨が発生します。

雨で体が濡れるとじわじわと体力が奪われ、不快感が募りますし、風邪をひくリスクもあるので、レインコートを着用して避難することが大切です。

レインコートを着ていれば、強風による飛来物が当たったときのダメージも多少は緩和されます。

レインコートには様々な種類がありますが、防災グッズとして備えるのはパーカーとズボンに分かれたタイプです。

ワンピースタイプのレインコートだと、顔や手足がはみ出して濡れます。

また、体にフィットしていないので動きにくく、レインコートの端がまくれてガレキに引っかかることもあります。

MEMO

持ち出し用防災セットに備えてあれば、新しく購入する必要はありません。

土嚢(どのう)

土嚢は、住宅の床上浸水を防止するための防災グッズです。

台風が接近・上陸すると、大雨・豪雨の影響で住宅の床上浸水が発生し、大きな被害をもたらします。

住宅が浸水すると、台風が過ぎ去った後も日常生活に大きな支障が出てしまい、避難生活を余儀なくされるケースもあるので、被害を最小限に抑える備えが欠かせません。

土嚢は、水の浸入を防ぐ最も簡単で手軽な手段です。

防災コラム

近年、都市部において多量の雨が降り、下水の処理量を超える雨水が地下街や低地に流れ込んだり道路に溢れたりする被害が相次いでいます。

 

内水氾濫と呼ばれる現象で、都市型水害として対策が求められています。

 

都市部やその近郊に住んでいる場合は、都市型水害による被害を減らすための浸水対策が特に重要になります。

給水ポリマー性の土嚢

おすすめは、水を吸わせるだけで土嚢になる給水ポリマー性の土嚢です。

購入時は段ボール並みに薄くて100~200gしかないので、自宅内で保管しておけます。

工事現場などで使われる土の入った土嚢は重く、広い保管スペースも必要ですが、給水ポリマー性の土嚢なら持ち運びも保管も簡単です。

土嚢ステーション

台風や大雨・豪雨の情報を得た段階で、土嚢ステーションに土嚢を取りに行く方法もあります。

土嚢ステーションというのは、床上浸水対策として利用できる土嚢がまとめて置いてある場所です。

近年は大雨・豪雨災害が頻発しており、土嚢ステーションを設置する地域が増えているので、近くにあれば利用を検討してください。

防災コラム

大雨・豪雨時には、玄関などの外側からだけでなく、自宅内の排水溝やトイレから逆流して水が入ってくることもあります。

 

「土嚢は玄関前などに置く」というイメージを持っている人が多いですが、逆流対策として自宅内にも置いておかなければなりません。

 

大雨・豪雨が発生するたびに、逆流対策を忘れて家中が水浸しになるケースが頻発しているので、意識しておきましょう。

 

浸水対策・玄関前などに土嚢や止水版を置く
逆流対策・便器の中に土嚢を入れ、排水溝の上に土嚢を乗せる

止水版

土嚢と同じく、雨水が住宅内へ浸入するのを防ぐための防災グッズが止水版です。

その名のとおり、浸水を防ぐことに特化しており、土嚢以上の浸水防止効果を発揮します。

ビルやマンション、駅前などに設置される業務用の止水板だけでなく、一般家庭用の止水版も販売されています。

一軒家に住んでいるなら一般家庭用を、マンションに住んでいるなら自治会で業務用を購入することを検討しましょう。

段ボール箱・ゴミ袋

一般家庭では、土嚢や止水版を備えておける量に限りがあります。

土嚢などが足りないときはゴミ袋に水を入れて水嚢を作り、段ボール箱に入れることで、土嚢代わりとして使うことができます。

ゴミ袋と段ボール箱があれば簡単に作ることができるので、念のために土嚢などと一緒に備えておきましょう。

水嚢の作り方は以下のとおりです。

  1. ゴミ袋を2枚重ねる
  2. ゴミ袋の中に水を入れる
  3. ゴミ袋の中の空気を押し出す
  4. ゴミ袋の口を縛る
MEMO

体力に自信がない人は、重い水嚢を運ぶのが大変なので、小さめの水嚢をいくつも作りましょう。

 

また、レジャーシートやブルーシートにポリタンクやプランターを包んで縛っても土嚢代わりになります。

 

十分な量の土嚢と止水版を備えることが大切ですが、足りない場合は家の中にあるアイテムを活用する方法もあることは覚えておきましょう。

ガラス飛散防止フィルム

ガラス飛散防止フィルムは、窓ガラスに貼り付けておくだけでガラスの飛散を防いでくれる防災グッズです。

台風に伴う激しい風で舞い上がった木の枝、店の看板、ガレキなどが、窓ガラスに衝突することがあります。

窓ガラスが割れると、室内に床に飛散したり、家族に当たったりするリスクがあるので、飛散防止の対策が必要です。

脱出ハンマー

脱出ハンマーは、車に閉じ込められたときに窓ガラスを割って脱出するためのアイテムです。

台風の影響で大雨が降って冠水した道路に進入してしまうと、外圧がかかって車のドアが開かなくなる可能性があります。

車の窓ガラスは、素手で叩いても簡単に割れないようにできているので、緊急時用に脱出ハンマーを備えておくことが大切です。

JIS規格を基準にする

脱出ハンマーは、JIS規格に準拠している商品を選びます。

脱出ハンマーとして売られている商品の中には、窓ガラスが割れにくいものがあり、「車に閉じ込められたときに窓ガラスを割ろうとしたのに、なかなか割れなかった。」という苦情が少なくありません。

しかし、「試しに車の窓を叩き割ってみる」というわけはいかないので、どのハンマーを選ぶか迷いやすいです。

迷った場合は、「日本の工業製品に関する規格や測定法などが定められた日本の国家規格(JIS)」に準拠した製品を選ぶと、はずれがなく、安心して備えておけます。

防災グッズ以外の台風対策

台風対策は、防災グッズを備えるだけではありません。

一般家庭でもできる、基礎的な台風対策について紹介しておきます。

台風対策用の防災グッズを備えるのと同時に、家族と話し合ってその他の対策も実践してみてください。

防災アプリをインストールしておく

防災アプリというのは、災害関連情報の収集や安否確認に役立つ機能を搭載したアプリの総称です。

平時にインストールして設定などを済ませておくと、災害発生直後から必要な情報を得たり、家族の安否確認をしたりできます。

MEMO

防災アプリをインストールするときのポイントは、異なる機能を持ったアプリを複数選ぶことです。

 

災害情報のプッシュ通知、家族の現在位置確認、地震情報の伝達などアプリによって搭載されている機能が異なるので、色々なアプリを触ってみて、災害時に役立ちそうなものを選びましょう。

 

私がインストールしている防災アプリは、以下のとおりです。

  • Yahoo!防災速報
  • わが家の防災ナビ
  • 東京都防災アプリ
  • ゆれくるコール
  • MySOS救命・救急 応急手当ガイド AEDマップ

防災アプリについては、別の記事で詳しく解説しています。

【2019年】無料防災アプリのおすすめランキング!自治体やヤフー等から防災士が厳選

ハザードマップを準備する

ハザードマップというのは、自然災害によって引き起こされる被害の範囲や程度を表示した地図です。

洪水(水害)、土砂災害、高潮、津波、火山噴火など自然災害ごとに作成されており、各種災害が発生した場合の危険度が視覚的に分かります。

各自治体が作成し、刊行物や自治体ウェブサイトに掲載しており、誰でも自由に閲覧することができます。

また、国土交通省ハザードマップポータルサイトでは、各自治体が作成したハザードマップが閲覧できるようになっています。

台風の接近・上陸が予想される場合に確認しておきたいのは、自宅、職場、子供の学校、実家などがある地域の「洪水(水害)ハザードマップ」と「土砂災害ハザードマップ」です。

洪水(水害)ハザードマップ大雨・豪雨災害が発生した場合に浸水が予想される範囲、浸水深、過去の浸水地域などを表示
土砂災害ハザードマップ土砂災害が発生した場合に被害が予想される地域などを表示

避難場所と避難経路の確認

台風の接近・上陸時には、自宅から避難しなければならない可能性があります。

避難時には不安と心配を抱えて冷静な行動や判断がしにくいので、平時のうちから避難する場所やそこまでの経路を確認しておくことが大切です。

MEMO

被害状況によっては、予定していた場所へ行けなくなる可能性があるので、第2~3候補くらいまで決めておくことをおすすめします。

防災コラム

避難する場所には、避難場所と避難所の2種類あります。

 

避難場所災害が発生または発生するおそれがあるときに、その危険から逃れるために一時的に避難して身の安全を確保する場所

災害ごとに指定されており、市区町村が避難準備・高齢者等避難開始、避難勧告、避難指示(緊急)を発したときに開設される

避難所災害の影響で住宅が被害を受けて生活の本拠が失われたときに、一時的な生活地として滞在する場所

 

東日本大震災が発生したときには避難場所と避難所の区別が曖昧で、被害拡大の一因になりました。

 

そのため、平成25年6月に改正された災害対策基本法ではっきりと区別されました。

自宅やその周辺の清掃

災害対策用の防災グッズのところで、窓ガラスにはガラス飛散防止フィルムを貼っておくと書きました。

それ以外にも、外壁や屋根が激しい風に耐えうる状態か、自宅周辺に風邪で吹き飛ばされそうな物がないかも確認し、リスクがあれば修繕や清掃・片付けをしておきましょう。

また、側溝や排水溝が詰まっていると、道路の冠水や床上浸水の原因になるので、詰まった落ち葉やゴミを取り除いてくことも大切です。

連絡方法や集合場所を家族で決めておく

家族が離れた場所にいるときに台風が接近・上陸し、避難が必要な状態になる可能性もあります。

そのため、家族がバラバラの状態で被災した場合に備え、連絡方法や集合場所を家族で決めておきます。

子供がいる場合は、被災した場合に取るべき行動を教えたり、避難する場所やそこまでの経路を一緒に歩いて見たりしておくことも大切です。

主な台風被害

最後に、2000年以降に日本へ接近・上陸し、大きな被害をもたらした台風について触れておきます。

台風被害
平成3年台風19号

(9月25日~28日)

中心付近の最大風速が50m/sで長崎県に上陸し、勢力が維持したまま速い速度で日本海沿岸を北上して、暴風による死者や建物の損壊等の被害が全国規模で発生、西日本では高潮被害、青森県などではリンゴの落果による農業被害が発生

死者84名、行方不明者2名、負傷者3,133名、住家全壊1,177棟、半壊14,287棟など(台風17号、台風18号の被害も含む)

平成5年台風13号

(9月1日~5日)

勢力は平成最大だが大きさがなかったので影響は九州に集中し、鹿児島県では豪雨災害後に直撃して土砂災害が多発、宮崎県日之影町で日降水量540mmを観測

死者・行方不明者48名、負傷者396名、住家全壊336棟、半壊1448棟
床上浸水3,770棟など

平成11年台風18号

(9月21日~25日)

沖縄南海上で発生して熊本県北部に上陸し、熊本県不知火町では高潮が発生、南西諸島・九州地方・中国地方で暴風、中部地方で大雨、愛知県で竜巻が発生

死者31名、負傷者1,218名、住家全壊338棟、半壊3,629棟、床上浸水4,895棟、床下浸水14,755棟など

平成16年台風18号

(9月4日~8日)

広島で史上1位の最大瞬間風速60.2m/sを観測、札幌でも50.2m/s、厳島神社が暴風と高潮の被害

死者43名、行方不明者3名、負傷者1,399名、住家全壊144棟、半壊1,506棟、一部損壊63,343棟、床上浸水1,328棟、床下浸水19,758棟など

平成16年台風23号

(10月18日~21日)

大型で強い勢力を維持したまま高知県土佐清水市付近に上陸し、南西諸島から東日本にかけての広い範囲に被害、九州地方から関東地方の多くの地点で日降水量の記録を更新

死者95名、行方不明者3名、負傷者721名、住家全壊907棟、半壊7,929棟、一部損壊12,514棟、床上浸水13,341棟、床下浸水41,006棟など

平成23年台風12号

(8月30日~9月5日)

強風域が直径1000kmを超える大型台風でが日本の南の海上をゆっくり北上し、長時間に渡って記録的な大雨が発生、紀伊半島を中心に多くの地点で総降水量が1,000mmを超え、土砂災害(深層崩壊)が発生

死者82名、行方不明者16名、負傷者113名、住家全壊379棟、半壊3,159棟、一部損壊470棟、床上浸水5,500棟、床下浸水16,594棟など

平成30年台風21号

(9月3日~5日)

中心気圧950hPa、最大風速45m/sという非常に強い勢力のまま徳島県南部に上陸して近畿地方を直撃し、高潮と暴風などの被害が発生

関西国際空港の滑走路の浸水、航空機や船舶の欠航、鉄道の運休等の交通障害、断水や停電、電話の不通などライフラインへの甚大な被害が発生

参考:気象庁|災害をもたらした気象事例(平成元年~本年)

まとめ

台風対策用の防災グッズは、持ち出し用防災セットや備蓄品を備えた上で追加して買い足しておくのが基本です。

台風の接近・上陸は、大雨・豪雨、土砂災害、床上浸水、飛来物によるケガなど様々な被害をもたらすので、平時から防災グッズを備え、その他の対策を講じておきましょう。