- 防災セット・防災グッズの点検項目
- 点検の時期と頻度
防災セット、備えっぱなしになっていませんか。
防災グッズにはそれぞれ賞味期限や使用推奨期限があり、期限切れのまま放置すると、いざというときに使えなかったり、安全性に問題が生じたりするリスクがあります。
例えば、乾電池が液漏れして充電器やライトが使えない、賞味期限切れの非常食を食べたり保存水を飲んだりしてお腹を壊すということになりかねません。
そのため、防災セットは購入して終わりではなく、定期的に中身の防災グッズを点検し、期限が近いグッズがあれば入れ替える必要があります。
この記事では、持ち出し用の防災セットの点検を中心に書いていますが、防災ポーチや備蓄品にも当てはまるところが多いので、参考にしてください。
防災セット・防災グッズの点検項目
防災セットの点検項目は、以下のとおりです。
点検項目 | 内容 |
中身 | 防災グッズが全て揃っているか |
期限 | 賞味期限や使用推奨期限が近いものがないか |
動作 | 壊れている電気機器はないか |
不足・不要 | 買い足す防災グッズはないか |
防災セットの点検1:中身
最初に点検するのは、防災セットの中身がきちんと揃っているかどうかです。
購入してから一度も防災セットに触れていなかったとしても、家族が中身を出したり入れ替えたりしている可能性があります。
例えば、子供のいる家庭では、子供が非常食のお菓子を勝手に食べていたというケースは珍しくありません。
また、妻(または夫)が知らないうちに防災セットを備える場所を変えていたり、防災グッズの一部を使っていたりすることもあります。
そのため、防災セットの中身を出してみて、購入した防災グッズが全て揃っているかどうか確認しましょう。
市販の防災セットを購入した場合、セット内容が書かれた書面を見ながら確認できるので楽です。
個別に揃えた場合、記憶を辿るのは大変なので、備えた時点で一覧リストを作成しておきましょう。
防災セットの点検2:期限
防災グッズにはそれぞれ賞味期限や使用推奨期限があるので、期限が切れる前に新しいものと入れ替えなければなりません。
防災セットの点検の中で最も手間と時間がかかる作業ですが、「備えておいたのに、いざというときに使えない」ということのないよう、一つひとつ点検しておきましょう。
期限切れのまま備え続けると安全性に影響が出やすい防災グッズ、その期限と入れ替え時期の目安をまとめました。
防災グッズ | 期限 | 入れ替えの時期 |
非常食 | 【保存食】 ・アルファ米:3~7年程度 ・乾パン:缶入りは3~7年、袋入りは1年程度 ・パン:3~5年程度 ・お菓子:3~5年程度 ・缶詰:3年程度 | 賞味期限の1年前 |
【インスタント食品(備蓄品用)】 ・レトルト食品:2年程度 ・カップ麺:6ヶ月程度 | 賞味期限の1ヶ月前 | |
保存水 | 5~7年程度 | 賞味期限の1年前 |
電気機器 | 機器による | 使用期限の1年前 |
乾電池 | ・アルカリ乾電池:10年 ・乾電池エボルタNEO:10年 ・乾電池エボルタ:10年 ・マンガン乾電池:2年 (単三の場合) | 使用推奨期限の1年前 |
薬(救急セットの中身) | 薬による | 使用期限の1か月前 |
その他の防災グッズにも期限が設定されているので、確認して入れ替えるようにしてください。
備蓄しておく非常食や保存水については、一部をローリングストック法で備えることをおすすめします。
ローリングストック法とは、「普段から少し多めに食材、加工品を買っておき、使ったら使った分だけ新しく買い足していくことで、常に一定量の食料を家に備蓄しておく方法(トクする!防災より引用)」です。
日常生活の中で消費しながら備蓄する方法なので、無駄がなく、備蓄する負担も少なくて済みます。
全てをローリングストック法で入れ替えるのではなく、3日分の備蓄は防災グッズの非常食や保存水を備え、残りをレトルト食品や市販の水で備えると、より負担が少なくなります。
「乾電池に期限なんてあるの。」と思うかもしれませんが、使用推奨期限が設定されています。
使用推奨期限というのは「その期間内に使用を開始すれば電池は正常に作動し、JISに規定する持続時間等の性能を満足する期間(JISより引用)」です。
使用推奨期限を過ぎると、未使用の状態でも電池を構成する部材が劣化し、性能の低下や液漏れが起こる可能性があります。
使用推奨期限は、乾電池本体または梱包に「月2桁-西暦年号(2019年6月の場合は06-2019)」で表示されています。
使用推奨期限の「期限」は各メーカーが取り決めますが、どの乾電池にも期限の表示は必ずあります。
保管環境によっては期限前に劣化することもあるので、使用推奨期限の1年前を目途に新しい電池と入れ替えるようにしましょう。
ラジオやライトなどの電気機器に乾電池を入れたまま備えている場合、電池を入れ替えた後の動作確認も忘れないでください。
乾電池を高温な場所で保管した場合のリスクについては、別の記事で詳しく解説しています。
防災グッズの点検3:動作
ラジオやライト、充電器(モバイルバッテリー)などの電気器機は、未使用の状態でも時間が経つと壊れることがあります。
防災セットの点検をするときは、全ての電気機器の電源を入れて動作確認を行い、故障している場合は修理することになります。
購入してから長時間経っている場合、高性能で使いやすい新商品が出ていることも多いので、新しく購入してみても良いでしょう。
防災グッズの点検4:不足・不要
時間が経つにつれて、大人は体力が低下したり足腰が悪くなったりしますし、子供は大きくなり、やがては実家を離れていきます。
購入したときは家族のニーズに合った防災セットだったとしても、家族構成、家族の年齢、性別、健康状態などの変化により、使い勝手の悪いものになっている可能性があります。
そのため、点検時には改めて家族のニーズを確認し、必要な防災グッズを買い足し、不要なものは出しておきましょう。
例えば、高齢になると成人用おむつや老眼鏡が必要になりますし、子供が大きくなるとベビー用品は不要になります。
点検のたびに防災セットの中身をアップデートしておくことで、いつ災害が発生しても役立つ防災セットを備えておくことができます。
防災セットの点検時期と頻度
防災セットの点検時期や頻度は、これといって決まっていませんが、半年に1度は点検しておくことが大切です。
点検の頻度は半年に1度
頻繁に点検するほど家族のニーズに合った状態を維持できますが、負担も大きくなります。
防災生活では、日常生活の負担にならず、いざというときに役立つ防災セットにしておくために、半年に1度の点検をおすすめしています。
負担感と必要性のバランスが取れているので、防災講義でも半年に1度の点検を勧めており、実際に半年に1度の頻度で点検を行う企業や官公庁が多いです。
家族全員で防災セットの点検を行うと、その時点における最善の防災セットができあがりますし、家族の防災意識も高まります。
もっと頻繁に点検しても問題はありませんが、負担を感じると続かないので、無理のない範囲で実行してください。
点検の時期は防災の日や防災用品点検の日
防災セットを点検する日は、防災の日や防災用品点検の日がおすすめです。
防災の日 (9月1日) | 災害について認識を深め、災害に対する心構えや備えを確認するために設定された日本の記念日。 関東大震災が発生したのが9月1日ということと、暦上、台風が発生しやすい二百十日(立春から210日目)と9月1日が近いということから9月1日になった |
防災用品点検の日 | 防災・危機管理アドバイザーの山村武彦さんの提案がきっかけで定着した防災関連日。 9月1日(防災の日)、12月1日、3月1日、6月1日の年4回ある |
防災の日には全国各地で防災に関するイベントが開催され、多くの人が防災意識を高めるので、防災セットの点検をするモチベーションも上がりやすいでしょう。
また、防災用品点検の日はいずれも季節の変わり目なので、衣替えもかねて点検を行ってみてはどうでしょうか。
私自身は、防災セットを購入した日を起点にして、半年ごとに点検をしています。
防災の日や防災用品点検の日を起点にすることも考えたのですが、キッチリ半年ごとに点検したかったので、購入日を起点にしました。
購入日に初回点検の日を決めてスマホのカレンダーに記入し、点検日が来たらアラームが鳴るようにしました。
点検後は次回の点検日を決め、同じくスマホのカレンダーに記入しています。
家族全員で点検できそうなら、少し日をずらすこともありますが、基本的には前回点検日に決めた日に点検することに決めています。
まとめ
防災セットは、備えて終わりではありません。
「いざというときに役に立つ」状態を維持するには、こまめに点検してアップデートすることが欠かせません。
手間と時間はかかりますが、自分や家族の命を守るための備えなので、半年に1回くらいは点検するようにしてください。