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雪害とは?雪の災害の種類と被害を減らす対策について解説

雪害

この記事で分かること
  • 雪害とはどのような災害か
  • 雪害の種類
  • 雪害対策

雪害対策はしていますか。

日本では、北海道から山陰地方までの24道府県の全域または一部が豪雪地帯(豪雪地帯対策特別措置法で指定される地域)に指定されており、その面積は国土の50%を超えています。

豪雪地帯に指定された地域には約2000万人の人々が生活しており、また、多くの人が観光やレジャーなどで訪れています。

このように、私たち日本人にとって雪は身近な存在なので、平時から雪害について正しく理解して備えておく必要があります。

この記事では、雪害の概要、雪害に関する防災気象情報、主な雪害の特徴について解説します。

雪害とは

雪害とは、雪の影響で発生する災害全般です。

中部地方以北の日本海側や北海道の西部で、北西の季節風の影響で冬に発生しやすい災害ですが、低気圧による降雪の影響で、冬から春にかけて太平洋側で発生することもあります。

冬に大量の積雪がある地域は、豪雪地帯対策特別措置法で「豪雪地帯」と指定されており、雪害の多くは豪雪地帯で発生しています。

ただし、豪雪地帯以外でも雪害が発生します

特に、異常気象によって過去に雪害を経験したことがない地域に雪が降ると、予想外の雪害が発生しやすい傾向にあります。

「雪害が起こりやすい」地域はありますが、「雪害が起こらない」地域はないので、雪害への備えはしておきたいところです。

雪害の読み方

雪害と書いて「せつがい」と読みます。

ニュースなどで「ゆきがい」と読まれることもありますが、誤読です。

豪雪地帯・特別豪雪地帯に指定された地域

2019年4月1日現在、地域豪雪地帯に指定された地域が532、特別豪雪地帯に指定された地域が201あります。

豪雪地帯・特別豪雪地帯の指定

出典:国土交通省

雪害の種類

雪による害と言えば、雪崩(なだれ)をイメージする人が多いですが、雪害には雪崩以外にも種類があります。

例えば、積雪や降雪の影響で道路、線路、滑走路などが埋もれて交通災害が発生したり、凍結した路面で転倒して骨折したり、雪圧で家屋や樹木が損壊したりします。

雪害の種類をまとめると、以下のとおりです。

雪害の種類被害の具体例
積雪害雪で道路、線路、滑走路などが埋もれる
雪圧害雪圧で家屋や樹木などが損壊する
雪崩害山の斜面の積雪が崩落して人や物を飲み込む
着雪害降雪が電線などに付着し、電線切断や電柱の傾斜などをもたらす
地吹雪強風で吹き上げられた積雪による視程が悪化する
その他路面凍結によるスリップや転倒、雪下ろし中の転落事故など

雪害被害の状況

過去2年の雪害による死亡者の内訳は、以下のとおりです。

原因2016年度2017年度
雪崩10(1)1(0)
除雪中45(30)102(86)
落雪5(4)5(4)
家屋倒壊2(1)2(2)
その他36(1)
合計65(36)116(93)

※カッコ内は65歳以上の人数

※いずれも11月1日~翌年3月31日までの死者数

参考:今冬の雪による被害状況等|総務省消防庁

雪害による死亡原因は屋根の雪下ろしなどの除雪が多く、年齢は65歳以上が多いことが分かります。

年度によって人数や割合に多少の変動はありますが、除雪中の死亡者が多いことは変わりません。

また、死亡事故以外についても、除雪中が大半を占めています。

雪害に関する防災気象情報

防災気象情報とは、災害発生のおそれがある現象が予想される場合などに、注意や警戒を呼び掛ける目的で気象庁が発表するものです。

気象庁は、災害のおそれのある現象が予想される2、3日前から気象情報を発表します。

そして、予想される災害の危険度によって気象注意報(16種類)、気象警報(7種類)、特別警報(6種類)を発表します。

種類発表基準
気象注意報自然現象の影響で災害が起こるおそれがあるとき
気象警報自然現象の影響で「重大な」災害が起こるおそれがあるとき
特別警報自然現象の影響で、重大な災害が起こるおそれが著しく大きいとき

防災気象情報は、原則として市区町村ごとに発表されます。

雪害に関する防災気象情報

雪害が発生するおそれがある場合に発表される防災気象情報は、以下のとおりです。

種類発表される防災気象情報
気象注意報大雪、風雪、なだれ、着氷、着雪、融雪
気象警報大雪、暴風雪
特別警報大雪、暴風雪

各防災気象情報の発表基準も見ておきましょう。

気象注意報
大雪大雪で災害が発生するおそれがある
風雪強風と雪で災害が発生するおそれがある
なだれ雪崩(なだれ)で災害が発生するおそれがある
着氷著しい着氷で、通信線・送電線・船体の被害などが発生するおそれ
着雪著しい着雪で災害(着氷注意報と同じ)が発生するおそれがある
融雪融雪で、浸水、土砂などによる災害が発生するおそれがある
気象警報
大雪大雪で重大な災害が発生するおそれがある
暴風雪暴風と雪で重大な災害が発生するおそれがある
特別警報
大雪数十年に一度の降雪量となる大雪が予想される
暴風雪数十年に一度の台風と同程度の温帯低気圧で雪を伴う暴風が吹くと予想される

気象庁が発表する注意報・警報・特別警報について詳しく知りたい場合は、以下の記事を読んでみてください。

気象庁の気象警報・気象注意報の種類と発表基準を解説!特別警報との違いは何?

主な雪害の特徴

この記事では、雪害のうち被害が多い「除雪中の事故」、「雪崩」、「雪道の事故」の特徴について解説していきます。

雪害:除雪中の事故

雪害で最も多いのは除雪中の事故で、毎年、雪害による死亡事故の約70%が除雪中に発生しています。

除雪中に起こる主な事故は、以下のとおりです。

  • 屋根から転落
  • 屋根からの落雪
  • 水路などへ転落
  • 除雪機に巻き込まれる
  • 除雪中の急性疾患

除雪中の事故

除雪中の事故で多いのが、屋根の除雪中に転落する事故です。

屋根の上は斜めになっていてバランスをとりにくく、積もった雪に足を取られる上、積雪で段差や屋根の縁などが見えません。

そのため、屋根の上でバランスを崩して転落したり、屋根に積もった雪が滑り落ちるのに巻き込まれて転落したりする事故が多くなっているのです。

除雪中の事故:屋根からの落雪

屋根以外での除雪作業中に多い事故が、落雪による事故です。

玄関先などの除雪作業中に、屋根に積もった雪が落ちてきて埋まったり、大量の雪が頭に当たったりしてケガをすることがあります。

除雪中の事故:水路などへの転落

積もった雪の下は目視できないので、転落の危険度が上がります。

水路に積もった雪の上を歩いて転落したり、除雪した雪を融雪槽へ入れようとして槽内へ転落したりする事故などが相次いでます。

除雪中の事故:除雪機に巻き込まれる

除雪機は、除雪にかかる時間と手間を大幅に減らしてくれる機械ですが、使い方を間違えるとケガをする危険があります。

特に多いのが、除雪機が雪詰まりを起こしたときに、エンジンを止めずに雪を取り除こうとして巻き込まれる事故です。

里帰り中に除雪を手伝うなど、除雪機を使い慣れていない場合は、要注意です。

除雪中の事故:除雪中の急性疾患

除雪作業は重労働です。

毎年、高齢者や持病を抱えている人が除雪作業中に心肺停止などで倒れる事故が起きています。

雪害:雪崩(なだれ)

雪崩(なだれ)とは、山の斜面などに降り積もった雪が重力の影響で崩れ落ちる現象です。

山間部で生活している場合だけでなく、スキーやスノーボード、雪山登山など冬の山で行うレジャースポーツを楽しんでいるときに雪崩に巻き込まれるケースが多くなっています。

また、雪崩によって家屋や施設が倒壊することもあります。

以下、雪崩の特徴を解説していきます。

雪崩の種類

雪崩は、どの範囲の雪が崩落したかによって、「表層雪崩」と「全層雪崩」に分類されます。

  • 表層雪崩:古い積雪面に降り積もった新雪だけが滑り落ちる現象
  • 全層雪崩:斜面に降り積もった古い積雪と新雪が地表面を滑り落ちる現象

雪崩の発生時期

1993年から2014年までの雪崩の発生件数と発生時期を見てみましょう。

雪崩の発生件数
1月97
2月165
3月57件
4月25件
5月2件
11月2件
12月28件

雪崩の発生時期は1月から3月までの間に集中していることが分かります。

表層雪崩は、気温が低く降雪が続く1月~2月頃に起こりやすく、全層雪崩は気温が上昇する3月~4月の融雪期に起こりやすくなっています。

雪崩の速度

雪崩の速度は、表層雪崩と全層雪崩で異なります。

雪崩の種類速度
表層雪崩100~200km/時
全層雪崩40~80km/時

いずれの雪崩も、雪崩を目視してから避難を開始しても、よほどの距離や安全な場所がなければ回避するのは困難です。

雪崩が発生しやすい場所

雪崩には発生しやすい場所があります。

  • 傾斜が30度以上の急な斜面
  • 背の低い木がまばらに生えている斜面
  • 落石注意の標識が設置されている場所

特に危険なのが、傾斜が35~45度で、背の低い木や草がまばらに生えている場所または裸地です。

一方で、背の高い木が密生している場所は雪崩が起きにくいと言われています。

落石注意の標識が設置されている場所も、雪崩が起きる可能性が高い場所です。

雪崩が発生しやすい条件

雪崩が起きやすい条件は、表層雪崩と全層雪崩で異なります。

表層雪崩
・雪庇や吹き溜まりのある斜面

・すでにかなりの積雪がある上に、短期間に多量の雪が降った

・0度以下の気温が続いている

・強風や吹雪が続いている

全層雪崩
・過去に雪崩が発生した斜面

・気温が急に上昇した

・斜面に降り積もった雪に亀裂ができる

雪害:雪道の事故

雪道の事故は、大きく車などを運転中の事故と歩行中の事故に分けることができます。

雪道の事故:運転中

車などの運転中に起こりやすい雪道の事故は、路面凍結や視界不良(視程障害)による衝突事故です。

白く光沢がある路面や透明または黒く見える路面は、凍結して非常に滑りやすくなっているため、注意して走行しなければなりません。

特に路面が凍結しやすく、事故の危険度が高いのは交差点、トンネルの出入り口、橋梁などです。

雪によって視程障害が起こりやすいのは、夜間で気温が低く風が強いときや大型車が通過したとき(雪煙)、周囲に何もない平坦な地形、峠などです。

雪道の事故:歩行中

雪道を歩行中の事故で多いのは、雪が積もった路面や凍結した路面の上を歩いて転倒する事故です。

特に滑りやすいのは、横断歩道などの白線の上や急な斜面の他、駐車場の出入り口や歩道の切れ目、バス乗り場(タクシー乗り場)など車が通る場所です。

車が通る場所は、車のタイヤで路面が磨かれることによって滑りやすくなります。

一見すると、雪が踏まれて滑りにくいように見えるため、注意が必要です。

まとめ

日本では毎年、雪による事故がたくさん発生し、多くの人の命が失われています。

雪は降る時期が予想されているので、備えようと思えば備える時間は十分にあります。

毎年雪がたくさん振る地域はもちろん、雪が降る可能性がある地域に住んでいる場合も、雪害対策を講じておくことで、雪による被害を抑えることができます。