- 地震保険の保険料の割引制度
- 改定前後の地震保険の保険料(都道府県別)
2019年1月に地震保険が改定され、各地域の保険料が値上がりまたは値下がりしました。
また、保険料の割引制度についても変更されたところがあります。
この記事では、2019年1月に改訂された地震保険の保険料と割引制度の変更点について解説します。
2019年1月の地震保険の改定
地震保険は、3段階改定が予定されています。
1段階目の改定は2017年1月に実施されたので、今回(2019年1月)の改定は2段階目ということになります(3段階目の時期は未定)。
今回の改定では、震源モデルや住宅・土地統計調査の結果などに基づいて地震保険関連の基礎データが更新され、保険料率が全国平均で約3.8%引き上げられました。
また、長期契約(保険期間2年から5年)で保険料を一括払いする場合の長期係数(割引)についても、金利状況を踏まえて改定されています。
さらに、割引制度を利用するために提出する資料の範囲も拡大され、地震保険をより利用しやすくなっています。
改定前後の地震保険の保険料(都道府県別)
地震保険の保険料は、地域(11区分)と建物の構造(2区分)によって違います。
改定前後の地震保険料について、建物の構造ごとに確認していきましょう。
改定前後の地震保険の保険料:イ構造
都道府県 | 保険料 | 改定額 | 改定率 | |
改定前 | 改定後 | |||
岩手、秋田、山形、 栃木、群馬、富山、 石川、福井、長野、 滋賀、鳥取、島根、 岡山、広島、山口、 福岡、佐賀、長崎、 熊本、鹿児島 | 6,800円 | 7,100円 | +300円 | +4.4% |
北海道、青森、新潟、 岐阜、京都、兵庫、 奈良 | 8,100円 | 7,800円 | -300円 | -3.7% |
福島 | 7,400円 | 8,500円 | +1,100円 | +14.9% |
宮城、山梨、香川、 大分、宮崎、沖縄 | 9,500円 | 10,700円 | +1,200円 | +12.6% |
愛媛 | 12,000円 | 12,000円 | 0円 | 0% |
大阪 | 13,200円 | 12,600円 | -600円 | -4.5% |
愛知、三重、和歌山 | 17.100円 | 14,400円 | -2,700円 | -15.8% |
茨城 | 13,500円 | 15,500円 | +2,000円 | +14.8% |
埼玉 | 15,600円 | 17,800円 | +2,200円 | +14.1% |
徳島、高知 | 13,500円 | 15,500円 | +2,000円 | +14.8% |
千葉、東京、 神奈川、静岡 | 22,500円 | 25,000円 | +2,500円 | +11.1% |
※保険期間は1年、地震保険金額は1,000万円、割引適用なし
出典:日本損害保険協会
イ構造というのは、コンクリート造や鉄骨造など耐火性が高い建物です。
千葉、東京、神奈川、静岡の4都県は、改定前から最も保険料が高い地域でしたが、改定後も25,000円(+2,500円)と最も高くなっています。
次いで埼玉県、さらに茨城県、徳島県、高知県が続いています。
改定率の高さでいうと、1位が福島県の14.9%、2位が茨城県、徳島県、高知県の14.8%です。
一方で、大阪府、愛知県、北海道などの11道府県では、保険料が値下がりしています。
改定前後の地震保険の保険料:ロ構造
都道府県 | 保険料 | 改定額 | 改定率 | |
改定前 | 改定後 | |||
岩手、秋田、山形、 栃木、群馬、富山、 石川、福井、長野、 滋賀、鳥取、島根、 岡山、広島、山口、 福岡、佐賀、長崎、 熊本、鹿児島 | 11,400円 | 11,600円 | +200円 | +1.8% |
北海道、青森、新潟、 岐阜、京都、兵庫、 奈良 | 15,300円 | 13,500円 | -1,800円 | -11.8% |
福島 | 14,900円 | 17,000円 | +2,100円 | +14.1% |
宮城、山梨、香川、 大分、宮崎、沖縄 | 18,400円 | 19,700円 | +1,300円 | +7.1% |
愛媛 | 23,800円 | 22,400円 | -1,400円 | -5.9% |
大阪 | 23,800円 | 22,400円 | -1,400円 | -5.9% |
愛知、三重、和歌山 | 28,900円 | 24,700円 | -4,200円 | -14.5% |
茨城 | 27,900円 | 32,000円 | +4,100円 | +14.7% |
埼玉 | 27,900円 | 32,000円 | +4,100円 | +14.7% |
徳島、高知 | 31,900円 | 36,500円 | +4,600円 | +14.4% |
千葉、東京、 神奈川、静岡 | 36,300円 | 38,900円 | +2,600円 | +7.2% |
※保険期間は1年、地震保険金額は1,000万円、割引適用なし
出典:日本損害保険協会
ロ構造というのは、主に木造の建物のことです。
最も高い保険料は、千葉県、東京都、神奈川県、静岡県の4都県の38,900円で、次いで徳島県と高知県の36,500円、茨城県と埼玉県の32,000円となっています。
最も値上がりしたのは、14.7%(4,100円)値上がりした茨城県と埼玉県で、その後に14.4%(4,600円)の徳島県、高知県が続きます。
イ構造の保険料が値下がりした大阪府や愛知県などは、ロ構造の保険料も値下がりしています。
改定前後の長期係数(割引)
地震保険の保険期間は、1年から5年までの間で設定することができ、2年から5年の長期契約を結んで保険料を一括で支払う場合、保険料が割引されることになっています。
長期契約の保険料を決めるときに用いるのが「長期係数」です。
長期契約の保険料に一定の長期係数を掛け合わせることで、1年契約よりもお得な保険料が算出されます。
2019年1月の地震保険の改定では、長期係数についても見直しが行われました。
契約年数 | 改定前 | 改定後 | 改定率 |
2年 | 1.90 | 1.90 | 0% |
3年 | 2.75 | 2.80 | +1.8% |
4年 | 3.60 | 3.70 | +2.8% |
5年 | 4.45 | 4.60 | +3.4% |
参考:日本損害保険協会
2019年の見直しでは2年契約以外の長期係数が高くなり、割引率は低くなっています。
5年契約を結んで150,000円(年間30,000円)の保険料を一括で支払う場合について、改定前と改定後のそれぞれで計算してみます。
- 改定前:30,000円×4.45=133,500円
- 改定後:30,000円×4.60=138,000円
改定前の方が4,500円も保険料が安くなります。
つまり、改定後は、長期契約による保険料の割引率が下がっているのです。
改定前後の割引確認資料
地震保険には、「建築年割引」、「耐震等級割引」、「免震建築物割引」、「耐震診断割引」という4つの割引制度があります。
いずれの割引制度も、保険対象の建物の耐震性が高いほど、保険料が割引されます。
契約者にとってはありがたい制度ですが、改正前は割引制度を利用するために必要な書類が限定されており、準備するのに時間と手間がかかっていました。
今回の改正では、割引確認に必要な資料の範囲が拡大され、制度を利用しやすくなっています。
改定前の割引確認資料
改定前には、割引制度によって以下のような書類を提出する必要がありました。
割引制度 | 資料 |
免震建築物割引 | ・「建設住宅性能評価書」または「設計住宅性能評価書」 ・フラット35Sに関する「適合証明書」または「現金取得者向け新築対象住宅証明書」 ・「住宅性能証明書」 ・長期優良住宅に関する「技術的審査適合証」 ・「認定通知書」等の長期優良住宅の認定書類および「設計内容説明書」等の免震建築物であることまたは耐震等級が確認できる書類 ・「耐震性能評価書」(耐震等級割引の場合のみ)
|
耐震等級割引 | |
耐震診断割引 | ・「耐震基準適合証明書」 ・「住宅耐震改修証明書」 ・「地方税法施行規則附則に基づく証明書」 |
建築年割引 | ・公的機関等が発行する以下の書類 「建物登記簿謄本」 「検査済証」 「建物登記済権利証」 「建築確認書」 ・宅地建物取引業法に基づく「重要事項説明書」 |
免震建築物割引、耐震等級割引、耐震等級割引、建築年割引
追加された資料 | 資料の説明 |
満期案内書類 | 保険契約の満期到来前に、保険会社から契約者あてに発行 |
契約内容確認のお知らせ | 長期保険契約の場合に、保険会社から契約者あてに発行 |
出典:日本損害保険協会
建築年割引
建築年割引を利用する場合、上記の資料だけでなく、以下の資料を提出することでも足ります。
追加された資料 | 資料の説明 |
不動産売買契約書 | 不動産売買の際に、宅地建物取引業者が発行 |
賃貸住宅契約書 | 不動産賃借契約の際に、宅地建物取引業者が発行 |
工事完了引渡証明書 (建物引渡証明書) | 新築・増築した建物を引き渡す際に、建築工事施工者が交付 |
出典:日本損害保険協会
新築年月(竣工年、建築年、完成年など)や所在地の記載、施工者や宅地建物取引業者の署名などが必要です。
地震保険の3段階目の改定
2019年7月時点では、地震保険の3段階目の改定の時期や内容は決まっていません。
近年は地震が頻発しており、3段階目の改定で地震保険料が大幅に値上がりすることも考えられます。
まとめ
現時点で3段階目の改定時期は決まっておらず、改定内容も分かりません。
しかし、地震が頻発している昨今の状況や、今回の改定内容を踏まえると、保険料が値上がりしたり、長期係数が改悪されたりする可能性は十分に考えられます。
そのため、早い時期に地震保険への加入を検討してみることをおすすめします。
地震保険は火災保険とセットで加入する必要があるので、保険料を比較するときは、火災保険を比較することになります。
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すでに加入している人は、地震保険だけでなく、「単独での加入」や「補償の上乗せ」ができる地震補償保険への加入も検討してみてください。