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液状化現象とは何か?原因・メカニズム、被害と対策を分かりやすく簡単に解説!

液状化現象

この記事で分かること
  • 液状化現象はどのような現象か
  • 液状化現象の原因とメカニズム
  • 液状化現象の被害と対策

大規模地震が発生すると、地震の揺れの影響で液状化現象が発生することがあります。

液状化現象が発生すると、道路や建物が地面に沈み込んだり、地面の中から水や砂が吹き上げたりする被害が発生し、交通にも大きな影響が及びます。

液状化現象とは

液状化現象とは、地表付近にゆるく堆積した砂質土の地盤が、地震の揺れの影響で液体状になる現象です。

液状化とだけ呼ばれることもあります。

日本では、1964年6月16日に発生した新潟地震の後、建物が地面に沈み込んだり倒れたりする被害が発生したことで注目されました(当時の呼称は「流砂現象」)。

その後も、大規模地震に伴って全国各地で液状化現象が発生し、大きな被害をもたらしています。

液状化現象が発生した地震と状況

液状化現象が発生した主な地震は、以下のとおりです。

地震発生地域など
新潟地震

(1964年)

新潟県内(新潟市内など)

信濃川左岸、信濃川右岸など

阪神・淡路大震災

(1995年)

兵庫県内(神戸市)

ポートアイランド・六甲アイランド(いずれも人工島)など

新潟県中越地震

(2004年)

新潟県内(小千谷市、長岡市、与板町、柏崎市など)

水田や湖沼を埋め立てた地域など

東日本大震災

(2011年)

1都6県の96市区町村

東京湾沿岸部や利根川下流域などの埋立地、旧河道・旧池沼など

熊本地震

(2016年)

熊本県内(阿蘇カルデラなど)

熊本平野の白川、緑川、加勢川の下流域など
北海道胆振東部地震

(2018年)

北海道(札幌市など)

震源付近の厚真町、安平町、むかわ町の人工造成地など

その他にも、大規模な地震が発生するたびに液状化現象による被害が出ています。

液状化現象が発生しやすい場所

液状化現象が発生しやすいのは、「地下水位が高く、ゆるく堆積した砂地盤」です。

地下水位が高く、ゆるく堆積した砂地盤というのは、「同じ成分や大きさの砂で構成される土(地盤)が地下水で満たされた場所」のことです。

具体的には、以下のような場所で液状化現象が発生しやすくなっています。

  • 埋立地
  • 人工島
  • 干拓地
  • 旧河道・旧池沼
  • 砂丘
  • 砂州間の低地
  • 河川の扇状地
  • 河口付近など

液状化現象が発生しやすい主な条件は、以下のとおりです。

条件説明
地盤N値(地盤の硬さを示す値)が20以下

砂粒子の大きさが0.03mm~0.5mm程度の砂地版

地下水位地表から10m以内
地震の揺れ震度5以上

液状化現象による被害

液状化現象が起こった地域では、以下のような被害が発生します。

建造物液状化した地盤の上にある住宅、ビル、橋梁などが沈下
埋め込まれた物液状化した地盤付近の下水道管やマンホールが浮上
噴砂液状化した地面から水や砂が吹き上がる
側方流動傾斜や段差がある地形で液状化が起こり、泥水状の地盤が水平方向に移動する
移動や交通人の移動や交通が障害され、避難に支障が出る
給排水上下水道の破損により、給水や排水が障害される

建造物では、木造住宅が特に深刻な影響を受けやすい傾向にあります。

木造住宅は、重量が軽く基礎が浅いので、液状化による地盤沈下の影響を受けやすいのです。

その他、地下に埋め込まれた下水道管が浮き上がたり、水や砂が吹き上げたり、泥水上の地盤が傾斜に沿って移動したりする被害が発生し、私たちの生活に大きな影響をもたらします。

液状化現象のメカニズム(原因)

東京都土地整備局が運営する「建物における液状化対策ポータルサイト」には、液状化のメカニズムを簡単に分かりやすく説明した図が掲載されています。

液状化 メカニズム

出典:建物における液状化対策ポータルサイト|東京都都市整備局

同じ成分や同じ大きさの砂からなる地盤は、砂粒子同士がくっついて押し合い、その間が地下水で満たされることで安定しています。

しかし、地震の揺れが繰り返されることで地下水の圧力が高まり、砂粒子がバラバラになって水に浮いたような状態になります。

そして、水よりも比重が重い砂粒は下の方に沈んで水と分離し、砂粒子同士の隙間が小さくなって地盤がゆるみ、沈下します。

液状化現象が発生した後

液状化現象が発生すると、地下水が徐々に外へ抜けます。

その結果、砂が元の状態またはそれ以上に結合し、地盤の強度が回復していきます。

再液状化

再液状化というのは、地震で液状化した地盤が、その後に発生した地震によって再び液状化する現象です。

地震発生による液状化現象で地盤が沈下しても、液状化を防ぐほど強く締め硬められる(砂が強く結合する)わけではないので、液状化したことのある地盤では再液状化が発生しやすいとされています。

液状化現象の対策

液状化対策は、住む場所の選定から始まり、実際に住み始めた後は地盤や建物への対策を検討します。

液状化現象対策:住む場所の選定

まずは、液状化が発生しにくい場所を住む場所として選ぶことが大切です。

土地の状態を確認するには、市区町村役場や図書館で、ボーリング柱状図や地形図などを確認する方法が有効です。

ボーリング柱状図

ボーリング柱状図というのは、ボーリング調査の結果を表示した図です。

MEMO

ボーリング調査とは、掘削機で地盤にあけた孔から採取した地質資料などに基づいて地質を調べる方法です。

ボーリング柱状図では、砂層・粘土層などの「土質」、土の硬さ、土層の厚さ、地下水位などを把握できます。

液状化に関して注意したいのは、砂層の硬さと厚さ、そして地下水位です。

砂層がゆるく厚く堆積して地下水位が高い場合は、液状化現象が起こりやすい地質なので、住む場所に選ぶのは避けたいところです。

地形図・土地条件図・古地図

液状化現象が発生しやすいのは、川の近く以外では埋立地、人工島、干拓地、旧河道・旧池沼などです。

これらの地形は、実際に訪問しても液状化現象が発生しやすいかどうか(元々どのような地形だったか)分かりませんが、各種地図を確認すればリスクを発見できることがあります。

地図の種類確認できること
地形図地表面の起伏や土地の利用状況
古地図過去の地形
土地条件図地形や土地の高さ

埋立地や旧河道・旧池沼などは現在の地形図では記載されていないことが多いので、古地図はぜひ確認しておきたいところです。

ハザードマップ

近年、液状化現象の発生危険箇所を表示したハザードマップを整備する地方自治体が増えています。

住んでいる地域で液状化現象のハザードマップが作成されていれば、確認しておきましょう。

ハザードマップについては、別の記事で詳しく解説しています。

ハザードマップとは何かを簡単に解説!種類とハザードマップポータルサイトも紹介

液状化現象対策:地盤対策

液状化現象を防止するための地盤対策には、3つの方法があります。

措置対象効果費用
締め固める・新築建物

・直下地盤

・地震安価
固める・新築建物

・中古建物

・直下地盤

・周辺地盤

・巨大地震

・耐震補強

高額
水を抜く・新築建物

・中古建物

・直下地盤

・地震

・耐震補強

安価

液状化現象対策:建物対策

建物に対しては、地盤が液状化しても建物の機能を維持するための対策を講じます。

建物対策具体的な方法
圧入締固め工法建物下の地盤にモルタルを層状に圧入して圧縮し、密度を増大して液状化を防止
薬剤注入工法薬液注入によって地盤を固化して液状化を抑え、建物の沈み込みを緩和
格子状改良工法地盤を格子状に囲むことで液状化による地盤のせん断変形を抑える

まとめ

液状化現象は、大規模な地震に伴って発生する可能性がある現象の一つで、建物が地面に沈み込んだり、地面から水や砂が吹きだしたりすることで、私たちの生活に大きな影響をもたらします。

液状化現象に備えるには、発生しにくい場所に住むことと、建物や地盤の対策を講じることが大切です。

また、地震による被害を最小限に抑えるためには、家具の転倒・落下・移動を防止する防災グッズを設置しておくことも欠かせません。

家具の転倒などを防止する防災グッズについては、別の記事で詳しく解説しています。

家具ごとに必要な防災グッズを解説しているので、これから自宅の安全対策を始める人は読んでみてください。

家具の転倒防止におすすめの防災グッズ!賃貸住宅を傷つけず使えるグッズも紹介

【参考】