- 防災ポーチ、持ち出し用防災セット、備蓄品の置き場所
- マンションと戸建の置き場所の違い
「防災セット?何年か前に買ったけど、どこに入れたかな。」という状態では、せっかく備えても役に立ちません。
いざというときに防災グッズを使ったり防災セットを持ち出したりするには、適切な場所に置いておくことが大切です。
この記事では、防災セットの置き場所について解説します。
防災セットの種類と置き場所のリスト
一般家庭で備える防災セットには、持ち歩き用、持ち出し用、備蓄用の3種類があり、それぞれ備える場所が異なります。
防災セット | 備えるもの | 置き場所 |
持ち歩き用 (防災ポーチ) | 被災直後に使う防災グッズを入れて常備する | ・自宅内:手の届く場所 ・自宅外:普段使いのカバンの中 |
持ち出し用 | 1日分の防災グッズを入れて自宅に備え、避難時に持ち出す | ・玄関やリビングなど目に触れる場所 |
備蓄用 | 3~7日間分の防災グッズを入れて自宅に備える | ・マンション:玄関付近の部屋や収納 ・戸建:庭の倉庫 |
備蓄品はリスク分散を心がける
備蓄品は、「1ヶ所にまとめて備える方法」と「色々な場所に分けて備える方法」があります。
防災生活でおすすめするのは、3日分の備蓄品はまとめて備えて残りは自宅の各場所に備える方法です。
理由は、リスクの分散です。
備蓄品をまとめて備えておくと、自宅が被害を受けたときに全て使えなくなる可能性があります。
例えば、備蓄品をまとめて庭の倉庫に入れていた場合、大雨・豪雨の影響で水が倉庫の中まで浸水し、備蓄していたものがダメになることがあります。
そのため、一定量はまとめて備えて残りを別の場所に備えることでリスクの分散をしておくのです。
持ち歩き用防災セット(防災ポーチ)の置き場所
防災ポーチは、被災直後に命を守るために使う最低限の防災グッズを入れ、0次の備えとして普段から持ち歩く防災セットです。
防災ポーチに入れておくのは、以下のような防災グッズです。
- 防災ポーチ本体
- スマホ
- モバイルバッテリー
- ラジオ
- ホイッスル
- 軍手
- スリッパ
- ウェットティッシュ
- 簡易携帯トイレ
- マスク
- 絆創膏
- 身分証明書のコピー
私が実際に持ち歩いている防災ポーチの中身については、別の記事で詳しく解説しています。
自宅外にいる場合の置き場所
災害はいつどこで発生するか分からないので、防災ポーチはいざというときの備えとして、普段使いのカバンの中に入れて持ち歩きます。
カバンの中の目立つ位置に入れておく習慣をつけたり、ストラップを付けたりするなど、災害発生直後に必要な防災グッズをすぐ取り出せる工夫をしておくことが大切です。
オフィス内の移動や休憩時間中も常に持ち歩くのが基本なので、負担に感じないサイズと重さにしておかなければなりません。
自宅内にいる場合の置き場所
自宅内では、常に手の届く範囲に置いておきます。
リビングにいるときはカウンターやテーブルの上に置き、寝るときは枕元に置くなど持ち歩くのが理想です。
自宅内まで持ち歩くのは面倒だと感じる場合は、リビングや玄関の目立つ場所に置く習慣をつける方法もあります。
私は阪神大震災でトラウマレベルの被災をしたので、自宅内でも常に防災ポーチを持ち歩いています。
一方で妻と子供は、帰宅するとリビングのカウンターの上に防災ポーチを置き、外出するときは持ち出しています。
持ち出し用防災セットの置き場所
持ち出し用防災セットは1日分の防災グッズを入れて自宅に置いておき、災害発生時に持ち出すことを想定して備えます。
防災セットの中身は、以下のとおりです。
- 防災リュック★
- 保存水★
- 非常食★
- スマホ★
- 充電器★
- 手回し充電ラジオライト
- ホイッスル★
- 簡易トイレ★
- ウェットティッシュ★
- 歯磨きシート
- 水なしシャンプー
- タオル★
- マスク★
- レインコート★
- ヘルメット
- 手袋
- スリッパ
- 替えの衣類・下着
- ランタン
- アルミブランケット★
- エアーマット
- 寝袋
- ゴーグル
- ウォーターバッグ
- トイレットペーパー
- 救急セット
- 髪の食器・ラップ
- 乾電池
- 現金★
- 顔写真付きの身分証明書のコピー★
※最低限必要な防災グッズには、★を付けています。
防災セットに入れる防災グッズの詳細は、別の記事で詳しく解説しています。
置き場所
持ち出し用防災セットの置き場所は目立つ場所です。
災害発生時には、誰でも少なからず動揺し、平時と比べると冷静さを失います。
また、安全の確保、家族の安否確認、避難の要否の判断、自宅の被害の有無の確認などすべきことが多く、防災セットを持ち出し忘れるおそれがあります。
「そんなまさか」と思うかもしれませんが、「早く逃げることしか頭になく、備えていた防災セットを持ち出し忘れた。」という被災者は少なくありません。
持ち出し忘れのリスクを少しでも減らすために、リビングや玄関などの目立つ場所を置き場所にすることをおすすめします。
寝るときは枕元に
就寝中に災害が発生した場合に備え、寝る前は、防災ポーチと一緒に枕元へ移動させることをおすすめします。
他の場所に置いたままにする場合は、避難経路を確保したり、足元灯で深夜の災害に備えたりし、災害発生時に防災セットを置いた場所までたどり着けるようにしておく必要があります。
置き場所を寝室にする方法もあります。
しかし、リビングにいるときに災害が発生したときに、家具の転倒などで寝室への通路が塞がれて取りに行けなくなる可能性を考えなければなりません。
家具の転倒・落下・移動防止、ガラス飛散防止フィルムの貼り付けなど自宅の安全対策を徹底しておきましょう。
デザイン性の高い防災セット
市販の防災セットの中にはデザイン性の高い防災リュックを採用したものも増えてきているので、持ち出し忘れの心配があるなら購入を検討してみても良いでしょう。
ディフェンドフューチャーの防災セット「Relief」は、機能性とデザイン性を兼ね備えた防災セットとして防災関係者や被災者の間で人気になっています。
災害ボランティアに参加するときに持参する人もいるなど、防災・災害関連で幅広く活用されています。
備蓄品の置き場所
備蓄品は、災害発生から3~7日分の保存水や非常食などを備えておきます。
行政が被災者支援を本格化させるのは、災害発生から3日後(72時間後)が目安ですが、大規模災害が発生した場合は遅れるおそれがあるとして、7日分程度の備蓄が推奨されています。
自宅避難用だと思われがちですが、災害が落ち着いた後に自宅から持ち出して避難所で使うことも想定しています。
備蓄品として備えるのは、以下のような防災グッズです。
- 非常食
- 保存水
- 簡易トイレ
- 防臭袋
- ウェットティッシュ
- 歯磨きシート
- 水なしシャンプー
- ウォーターバッグ
- カセットコンロ
- IHクッキングヒーター
- IH対応調理器具
- リアカー
備蓄品の置き場所は、自宅がマンションか戸建かによって異なります。
マンションの場合
マンションやアパートに住んでいる場合、玄関付近の部屋や収納を置き場所にします。
玄関付近の廊下に収納があれば、そこが置き場所の第一候補になります。
備蓄品を車に保管するリスク
マンションの高層階に住んでいる場合、災害発生時にはエレベーターが止まってしまうので、災害が落ち着いた後に自宅から備蓄品を持ち出すのは相当に骨が折れます。
その場合、車に備蓄品を保管する方法がありますが、車内保管には自宅保管にはない問題が潜んでいます。
日中の車内が高温になることです。
JAF(日本自動車連盟)のウェブサイトでは、夏場の日中における車内最高温度は50度を超えるというユーザーテストの結果を確認することができます。
出典:JAFユーザーテスト
保存水や非常食などの備蓄品は常温保管が推奨されているので、車内で保管すると賞味期限前に劣化したり痛んだりするリスクがあります。
車内に保管するのであれば、耐温度域の上限が60℃以上で車載保管が可能な防災グッズを選ばなければなりません。
防災グッズを車内で保管することのリスクについては、別の記事で詳しく解説しています。
戸建の場合
戸建の場合は、庭の倉庫を置き場所にするのがおすすめです。
自宅が被害を受けて倒壊・損傷しても備蓄品を持ち出すことができますし、もしも倉庫がつぶれても、倒壊した自宅よりは取り出しやすいからです。
ただし、浸水被害を受けるリスクはあるので、備蓄品の一部は自宅の高い場所に置き、リスクを分散してください。
備蓄品は玄関付近に置いておくという意見もあります。
持ち出しやすさを考えると玄関先が便利ですが、床上浸水すると防災グッズが水に浸かってダメになってしまいます。
一部は玄関先に置くとしても、残りは自宅の高い場所を置き場所にしておくことが大切です。
まとめ
防災グッズや防災セットは、購入して終わりではありません。
いざというときに使ったり持ち出したりできるよう、適切な置き場所に保管しておきましょう。
備蓄品については、リスク分散のために自宅の色々な場所に分けて置いておくのが基本です。
また、定期的に点検することも欠かせません。
防災グッズの点検方法については、別の記事で詳しく解説しています。