- 夏に必要な熱中症・脱水対策の防災グッズ
夏に災害が発生した場合に問題となるのが、脱水と熱中症です。
夏は、気温とともに体温が上昇します。
私たちの体は汗をかいて体温を下げようとしますが、汗に含まれる水分と塩分の両方が失われて脱水症になり、その状態を放っておくと熱中症になってしまいます。
脱水症と熱中症は混同されやすいので、少し説明しておきます。
脱水症 | ・水と電解質でできた体液が汗で失われ、その補給ができていない状態 ・血液量が減って血圧が低下し、栄養素が身体に行き渡らなくなり、老廃物を排泄する力も低下する ・食欲不振、脚がつる、脚が痺れるなどの症状に加え、熱中症の諸症状を誘発する |
熱中症 | ・気温の高い環境で生じる健康障害をまとめて熱中症と呼ぶ ・体内の水分や塩分などのバランスが崩れた影響で、体温の調節機能が低下する ・体温上昇、めまい、倦怠感、けいれん、意識障害などの症状が引き起こされる |
平成30年(2018年)6月から9月までに92,710人(5月を含めると95,137人)が熱中症で救急搬送されています。
夏場に災害が発生した場合、炎天の中を避難したり、クーラーのない避難場所や避難所で過ごしたりせざるを得ないことがあります。
水を十分に確保できないおそれもあり、平時以上に熱中症や脱水のリスクが高くなります。
そのため、夏場には熱中症・脱水対策の防災グッズを備えておく必要があります。
また、夏の暑さやそれに伴う身体の不快さは大きなストレスとなります。
被災して精神的に追い詰められた状況でさらにストレスを抱えると、精神衛生上良くないので、ストレスを和らげるための防災グッズも準備しておきたいところです。
夏に必要な熱中症・脱水対策の防災グッズ
熱中症・脱水対策用の防災グッズは、以下のとおりです。
防災グッズ | 備える理由 |
経口補水液 | 熱中症・脱水対策 |
保存水・塩飴 | |
帽子 | |
扇子 | |
冷却シート | |
体ふきシート | 熱中症・脱水対策、ストレス低減 |
水なしシャンプー | ストレス低減 |
この記事で紹介するのは、夏場の熱中症・脱水対策やストレス対策として備えておく防災グッズで、持ち出し用防災セットに追加して備えることを想定しています。
持ち出し用防災セットに備えてあるものは兼用可能です。
持ち出し用防災セットに備える防災グッズについては、別の記事で詳しく解説しています。
経口補水液
脱水は、「水と電解質(塩分が水に溶けた状態)でできた体液が汗で失われ、その補給ができていない状態」なので、水分補給だけではなく塩分補給も必要です。
経口補水液は、水分と塩分を同時に補給できるので、熱中症・脱水対策として、少なくとも持ち歩き用(防災ポーチ)と持ち出し用防災セットには備えておきましょう。
パウダータイプがおすすめ
おすすめは、かさばらないパウダータイプの経口補水液です。
子供(小学生以上)、成人、高齢者の経口補水液の摂取量の目安は、1日あたり1Lです。
上記リンクから経口補水液を購入する場合、賞味期限に注意してください。
賞味期限が短いことがあります。
避難所や避難場所、仮設住宅は室温管理が十分にできません。
また、食事や水分補給も不十分になりがちで、体力や免疫力が低下しやすく、衛生環境も良くないので、自宅にいる場合よりも体調を崩しやすいとされています。
感染症のリスクが高いことは知られていますが、熱中症や脱水になる人も少なくありません。
被災したストレスや避難生活のストレスが積み重なって、食事や水分補給が少なくなり、脱水になるリスクもあります。
特に、幼い子供や高齢者はリスクが高いです。
また、防災グッズとして保存水を備える人は増えていますが、塩分を摂取するための食品を備えている人は少なく、塩分不足で体調を崩す人もいます。
保存水・塩飴
保存水は、持ち歩き用(防災ポーチ)、持ち出し用、備蓄用すべての防災セットに入れておく防災グッズの必需品です。
パウダータイプの経口補水液は水に溶かして使用するので、賞味期限内の保存水を備えておきましょう。
市販のペットボトルの水は賞味期限が1年から1年半と短いので、長期保管できる5~7年保存水を選ぶことが大切です。
防災セットの種類 | 持ち歩き用 | 持ち出し用 | 備蓄用 |
保存水を備える量 | 500ml×1 | 500ml×2~3 | 500ml×3~7日分 |
経口補水液のパウダーを使用しない場合、塩飴や梅干しなど塩分補給用の食品を備えておく必要があります。
また、短時間に大量の水を飲むと、体内の電解質のバランスが崩れて体調が悪化する可能性があるので、注意が必要です。
緑茶やウーロン茶を作って飲む人もいますが、カフェインには利尿作用があるので、控えてください。
災害発生時に限ったことではありませんが、夏場はこまめに水分補給することが大切です。
「喉が渇いていないし、汗もかいていないから大丈夫。」と思って十分な水分補給をしない人が多いですが、その状態でも体液が減っていることもあります。
例えば、普段より尿の色が濃くなっていたり、量が少なかったりする場合、水分が不足しています。
喉が渇いたり汗をかいたりする前から水分を補給するようにしてください。
また、塩分の補給も忘れないようにしましょう。
帽子
帽子をかぶることも、熱中症・脱水対策になります。
また、日傘を使って日陰を選んで歩いたり、通気性の高い衣服を身につけたりすることも大切です。
防災グッズとしてヘルメットを備えている場合、ヘルメットをかぶる方法もあります。
扇子
避難時や避難場所・避難所で体調に異常を感じたら、まずは体を冷やすことが大切です。
日陰で風通しの良い場所や、クーラーが効いた屋内へ行くのが理想ですが、災害発生時には見つかりにくいものです。
扇子を備えておけば、あおいで体を冷やすことができます。
冷却シート
体を冷やすには、冷却シートを使うのも効果があります。
体を効果的に冷やすには首の後ろ、脇の下、脚の付け根に貼り付けるのがおすすめです。
首の後ろ、脇の下、足の付け根の近くにはたくさんの血液が流れる太い静脈があります。
これらの部位を冷やすことで血液が冷え、冷えた血液が流れることで効率的に体を冷やすことができます。
冷やしすぎると、血管が収縮して脳の血流が滞り、めまいなどの症状が生じるリスクがあります。
また、首の後ろのリンパ管が冷えると、体が冷たくなったと脳が誤解し、発汗が止まり、放熱されなくなるおそれがあります。
首の後ろを冷やすのは、短時間にとどめておきましょう。
体ふきシート(ウェットティッシュ)
体ふきシートも、高くなった体温を下げるために必要な防災グッズです。
体ふきシートで体を拭いた後に扇子であおぐと効果的です。
また、夏場はたくさん汗をかき、汗のベタツキが不快でストレスを感じやすいものです。
被災時のストレスは精神的な不調を引き起こしやすいので、こまめに体を拭いて清潔に保ち、ストレスを和らげることが大切です。
冷感や刺激のあるものを好む人もいますが、防災グッズとしてはノンアルコール・無香料で低刺激な体ふきシートがおすすめです。
ウェットティッシュで代用する場合も、刺激が少ないノンアルコールで無香料のものを備えておきましょう。
水なしシャンプー
水なしシャンプーは、髪の衛生管理と、髪のベタツキによるストレスを和らげるために役立つ防災グッズです。
水なしシャンプーは、市販の防災セットに入っていることもあります。
まとめ
夏場の災害に備えるには、熱中症や脱水になるリスクや暑さに伴うストレスに対処できる防災グッズを備えておくことが大切です。
そのためには、防災セットを備えたままにしておかず、定期的に点検することが大切です。
特に、持ち出し用防災セットは、半年に1度は点検し、家族の状況や季節などに応じて中身の防災グッズをアップデートしておきましょう。