- 地震保険におすすめランキングがない理由
- 都道府県別の地震保険料
- 地震保険を選ぶときのポイント
保険を選ぶときに「〇〇保険 ランキング」や「〇〇保険 おすすめ」で検索し、比較サイトで各保険を比較検討したり、評価の高い保険を選んだりする人は多いでしょう。
しかし、地震保険には「おすすめランキング」をつけることができず、地震保険単体では比較することもできません。
この記事では、地震保険のランキングが付けられない理由と、地震保険を選ぶときのポイントについて解説します。
地震保険におすすめランキングが付けられない理由
地震保険におすすめランキングが付けられないのは、損害保険会社が販売する地震保険の保険料や保険の内容に違いがないからです。
これは、地震保険の運営体制に理由があります。
地震保険は「官民一体」の保険制度
地震保険は、国(財務省)と民間の損害保険会社が共同して運営する官民一体の保険制度です。
地震保険の販売や保険金の支払い業務は損害保険会社が担当しているので、地震保険に加入したい場合は損害保険会社で手続きすることになります。
しかし、保険の内容や保険料などは国が決めることになっており、損害保険会社が独自に決めることは認められておらず、どの損害保険会社でも販売する地震保険に差がないので、おすすめランキングのつけようがないのです。
「地震保険のおすすめ」や「地震保険のランキング」といったタイトルの付いた記事を見かけたら、「この記事を書いた人、地震保険のこと理解しているのかな。」と疑ってかかりましょう。
地震補償保険リスタ(Resta)など、民間の損害保険会社が独自に開発・販売する地震に関する保険は、内容や保険料に違いがあります。
地震保険を選ぶときのポイント
では、どの損害保険会社で地震保険に加入しても同じなのかと言えば、そうではありません。
地震保険は火災保険とセットで加入する
実は、地震保険は単独で加入することができず、火災保険とセット(火災保険の特約として)加入する必要があります。
地震保険の内容や保険料には差がありませんが、火災保険の内容や保険料は損害保険会社によって異なるので、地震保険を選ぶときは火災保険を比較することになります。
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火災保険の選び方
火災保険を選ぶときは、7つのステップがあります。
ステップ1:保険の対象を決める
はじめに、保険の対象を決めます。
火災保険の対象は、「建物」、「家財」、「建物+家財」の3種類から選びます。
火災保険の対象 | 具体的な内容 |
建物 | 建物本体、門、塀、物置き、車庫 建物に付帯して動かすことができない構造物 |
家財 | 家具、電気機器、洋服、カーテンなど 建物の中にあって動かすことができる物 |
※建物や家財の定義は、損害保険会社によって細部が異なることがありますが、基本的には上の図のとおりです。
また、火災保険は、持ち家なのか賃貸なのかによって選択できる保険対象が違います。
住宅の種類 | 選択できる保険対象 |
持ち家 | 建物、家財、建物+家財 |
賃貸 | 基本的には家財のみ |
賃貸住宅の場合に「家財」しか保険対象にならないのは、「建物」は契約者ではなくオーナーの所有だからです。
火災保険の保険対象に迷う場合、各損害保険会社から複数の見積もりをとり、保険の対象と保険料を見て検討するのも一つの方法です。
ステップ2:建物の構造級別を確認する
火災保険の保険料は、建物の構造によって変わります。
具体的に言うと、火災のリスクが高い構造の建物ほど保険料が高くなり、リスクが低いほど保険料が安くなります。
損害保険会社は、建物の構造を示す区分である「構造級別」に基づいて火災のリスクを判断します。
構造級別は、3つのステップで決まります。
- 建物の種類を確認する
- 共同住宅かどうかを確認する
- 法令上の「建物の耐火性能」を確認する
構造級別は、「M構造(マンション構造)」、「T構造(耐火構造)」、「H構造(非耐火構造)」の3種類に分類されます。
耐火性の強さは「M構造>T構造>H構造」で、耐火性が強く火災のリスクが低いほど火災保険料が安く設定されています。
構造級別 | 建物の種類 |
M構造 | コンクリート造や鉄骨造の共同住宅など |
T構造 | コンクリート造や鉄骨造の共同住宅以外など |
H構造 | 木造の共同住宅(耐火建築物でない)など |
構造級別は、建物や共同住宅の仕様書で確認できるので、火災保険を選ぶ前に確認しておきましょう。
ステップ3:補償の範囲を決める
火災保険は、家庭の状況などに応じて補償の範囲を細かく決められるようになっています。
そのため、どのような災害に対する補償を付けるのか(付けないのか)を決める必要があります。
補償の範囲には、火災保険のメインの補償と、特約(オプション)の補償があります。
補償の種類 | 具体的な補償内容 |
メインの補償 | 火災、風災、雹災、爆発、落雷、破裂など |
特約(オプション) | 水災、盗難(窃取、損傷、汚損など)、水漏れ、物体の飛来や衝突など |
メインの補償は、火災保険に加入すると必ず付くベースの補償、特約(オプション)は付帯させるかどうかを契約者が決める補償です。
メインの補償だけを選ぶことはできますが、特約(オプション)だけを選んで火災保険に加入することはできません。
補償の範囲が広いほどいざというときに安心ですが、保険料は高くなるので、家族の状況を踏まえて設定することが大切です。
ハザードマップや周辺地図を確認したり、過去の災害を振り返ったりして、住んでいる地域の危険度を確認した上で補償の範囲を決めるようにしましょう。
補償の範囲のうち、特約(オプション)については損害保険会社によってラインナップや保険料が異なります。
そのため、必要な特約をできるだけ安く付けるには、火災保険の一括見積りで必要な特約を選び、複数の損害保険会社から見積もりをとる方法が有効です。
ステップ4:保険金額を決める
火災保険の保険金額は、「保険価額」という、保険対象の建物や家財の価値を金銭的に評価した数値に基づいて決まります。
保険価額には新価と時価があり、いずれかを基準にして保険価額を設定します。
保険価額 | 説明 |
新価 | 保険対象と同じ建物を建築したり、家財を購入したりするときに必要な金額 |
時価 | 新価-(時間経過に伴う価値の減少+使用による消耗)で算出される現在の価値を表す金額 |
火災保険の場合、火災などで失った建物や家財と同水準のものを新しく建築・購入できるように、新価に基づいて保険金額を決めるのが一般的です。
時価に基づいて保険金額を決めるよりも保険料は高くなりますが、被災したときに生活再建に必要な保険金を受け取ることができます。
多くの火災保険の補償上限は「新価」と同じです。
火災によって建物や家財がどれほど損害を受けても、新価を超える補償を受けることはできません。
ステップ5:保険期間を決める
保険金額が決まったら、保健期間を決めます。
火災保険の保険期間は、1年から10年の間で設定します。
火災保険の保険料は、保険期間を長く設定するほど保険料が割引される商品も多くなっています。
新しく自宅を購入して長く住み続ける予定がある場合などは、長期契約をして保険料を安く抑えるのがおすすめです。
ステップ6:保険料の支払方法を決める
火災保険の支払方法には、3つの種類があります。
支払方法 | 具体的な内容 |
長期払い | 毎月、保険料を支払う |
長期年払い | 毎年1回、1年分の保険料をまとめて支払う |
長期一括払い | 全契約期間の保険料を一括で支払う |
長期年払いや長期一括払いを選ぶと、保険料が割引される商品もあります。
まとまった費用がかかりますが、トータルで支払う保険料額は安くなるので、家計と相談して決めてください。
ステップ7:地震保険に加入するかどうかを選ぶ
火災保険では、地震などが原因の火災で生じた損害については補償の対象外です。
そのため、地震などで自宅が被害を受けるリスクを踏まえ、地震保険に加入するかどうかを決めることになります。
地震保険の内容や保険料は損害保険会社によって差がいないので、加入するかどうかだけを決めることで足ります。
地震保険に加入しておきたいケースとしては、住宅ローンが何十年も残っている場合や、自宅が被災すると生活の立て直しが難しい場合などが考えられます。
地震保険料の都道府県別・建物の構造別ランキング
地震保険は、保険対象となる「居住用の建物」や「家財を収容する建物の構造」、所在地の都道府県によって異なります。
そのため、都道府県別または建物別に保険料のランキングを付ける(高いものから順に並べる)ことは可能です。
保険期間1年間、地震保険金額1000万円の場合の保険料は、以下のとおりです。
都道府県 | 建物の構造 | |
イ構造 | ロ構造 | |
千葉、東京、神奈川、静岡 | 25,000円 | 38,900円 |
埼玉 | 17,800円 | 32,000円 |
徳島、高知 | 15,500円 | 36,500円 |
茨城 | 15,500円 | 32,000円 |
愛知、三重、和歌山 | 14,400円 | 24,700円 |
大阪 | 12,600円 | 22,400円 |
愛媛 | 12,000円 | 22,400円 |
宮城、山梨、香川、大分、宮崎、沖縄 | 10,700円 | 19,700円 |
福島 | 8,500円 | 17,000円 |
北海道、青森、新潟、岐阜、京都、兵庫、奈良 | 7,800円 | 13,500円 |
岩手、秋田、山形、栃木、群馬、富山、石川、福井、長野、滋賀、鳥取、島根、岡山、広島、山口、福岡、佐賀、長崎、熊本、鹿児島 | 7,100円 | 11,600円 |
- イ構造:コンクリート造や鉄骨造の建物など
- ロ構造:木造の建物など
地震保険料が最も高いのは、千葉県、東京都、神奈川県、静岡県の4都県です。
また、最も安いのは、全国各地の20県です。
2019年1月に地震保険料が改定されました。
全国平均では地震保険料が3,8%値上がりしていますが、耐震性に優れた住宅が増えているので、前回の改定時に見込まれた値上げ率よりは低くなっています。
各都道府県別に見ると、値上がりした地域もあれば、値下がりした地域もあります。
建物の構造別では、イ構造で最も値上がり率が高かったのが茨木、高知、徳島の3県(14.8%)です。
次いで埼玉(14.1%)、千葉、東京、神奈川、静岡の4都県(11.1%)が続きます。
ロ構造では、茨城と埼玉の値上がり率が最も高い14.7%となっています。
2位は徳島、高知の2県(14.4%)、3位は福島(14.1%)です。
一方で、大阪、北海道、愛知、三重、和歌山、青森、新潟、岐阜、京都、兵庫、奈良の11道府県は値下がりしています。
まとめ
地震保険は、保険内容や保険料を国が決め、販売や保険金の支払いを民間の保険会社が行う「官民一体の保険制度」なので、おすすめランキングを付けることはできません。
ただし、地域によって保険料に差があるので、保険料が高い(又は安い)順にランキングを示すことは可能です。
地震保険に加入するには火災保険にも加入する必要があります。
火災保険は損害保険会社によって保険内容や保険料が異なるので、地震保険を選ぶときは火災保険を比較して選ぶことになります。
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