- 土砂災害の種類
- 土砂災害警戒区域・特別警戒区域・危険箇所の違い
土砂災害は、台風や大雨・豪雨などに伴って発生し、一瞬で人や建物を飲み込んで大きな被害をもたらす災害です。
そのため、行政は、土砂災害の発生が予想される地域などを土砂災害警戒区域や土砂災害特別警戒区域に指定し、注意喚起を呼びかけています。
土砂災害に備えるには、土砂災害に関する知識を得るとともに、住んでいる地域の危険度を知っておくことが重要です。
この記事では、土砂災害の種類、土砂災害警戒区域、土砂災害特別警戒区域、土砂災害危険箇所の定義と調べ方について解説します。
土砂災害とは
土砂災害とは、大雨・豪雨や台風、地震などが原因で、水と土砂が流出したり、山や崖が崩れたりする災害です。
火山活動によって発生する溶岩流、火砕流、火山噴出流、火山泥流も土砂災害に分類されています。
火山噴火に伴う現象については、別の記事で詳しく解説しています。
土砂災害の種類
主な土砂災害は、以下の3つです。
- 土石流
- 地すべり
- がけ崩れ
いずれの土砂災害尾大きな被害をもたらすリスクが高いので、特徴と前兆現象を把握しておくことが大切です。
土石流
出典:土砂災害の危険箇所は全国に53万箇所!土砂災害から身を守る3つのポイント|政府広報オンライン
土石流とは、長雨や集中豪雨などの影響で、山腹や川底の石や土砂が下流へ押し流される現象です。
進行速度は時速20~40kmと早く、気づいてから避難を開始しても手遅れになることが多いので、早めの避難が必要になります。
土石流の前兆現象は、以下のとおりです。
- 大雨が降っているのに川の水位が下がる
- 突然、川の水が濁り、流木が混じる
- 山鳴りがする
- 木が裂けたり、石がぶつかったりする音がする
- 腐った土の匂いがする
地すべり
出典:土砂災害の危険箇所は全国に53万箇所!土砂災害から身を守る3つのポイント|政府広報オンライン
地すべりとは、地下水と重力により、斜面の一部もしくは全部がゆっくりと下方へ移動する現象です。
表面の土砂だけでなく、広い範囲の土の塊が一気に移動するので、広範囲に被害が発生します。
地すべりの前兆現象は、以下のとおりです。
- 地面がひび割れたり、陥没したりする
- 地面に亀裂や段差ができる
- 水が斜面やがけから噴出する
- 木や電柱が傾く
- 地鳴りや山鳴りがする
がけ崩れ
出典:土砂災害の危険箇所は全国に53万箇所!土砂災害から身を守る3つのポイント|政府広報オンライン
がけ崩れとは、雨水の浸透や地震などの影響で、急斜面やがけの地表に近い部分が緩んで崩れ落ちる現象です。
急に崩れ落ちることが多く、がけ崩れが発生してから避難するのは難しいでしょう。
がけ崩れの前兆現象は、以下のとおりです。
- 急斜面やがけがひび割れる
- 急斜面やがけから小石が落ちてくる
- 急斜面やがけから水が噴出する
- 地鳴りがする
土砂災害危険箇所・土砂災害警戒区域・土砂災害特別警戒区域の違い
土砂災害の危険がある地域については、行政が土砂災害危険箇所、土砂災害警戒区域、土砂災害特別区域を定めています。
土砂災害危険箇所とは
土砂災害危険箇所とは、1/25,000の地形図で土砂災害(土石流、地すべり、がけ崩れ)のおそれがある箇所を想定した箇所です。
国土交通省の要請を受けた各都道府県が調査を行って危険箇所を定めていますが、法的な位置づけはありません。
土砂災害警戒区域・土砂災害特別警戒区域とは
土砂災害警戒区域とは、土砂災害危険箇所のうち、1/2,500の地形図で現地調査を行った上で土砂災害のおそれがある土地を指定した区域です。
土砂災害警戒区域は、都道府県知事が、土砂災害防止法(土砂災害警戒区域等における土砂災害防止対策の推進に関する法律)に基づいて指定します。
以前は、砂防法、地すべり等防止法、急傾斜地の崩壊による災害の防止に関する法律(砂防3法)に基づいて、土砂災害が発生する危険箇所に対して土砂災害防止工事を行ってきました。
しかし、危険箇所全てに工事を行うには途方もない時間と費用が必要になります。
そこで、土砂災害防止法では、土砂災害が発生するおそれがある区域を明らかにして、警戒避難体制の整備などを推し進めることで被害を防止する方向にシフトしました。
土砂災害警戒区域には、通常の土砂災害警戒区域と、土砂災害特別警戒区域の2種類があります。
土砂災害警戒区域(イエローゾーン)とは
土砂災害警戒区域とは、土砂災害が発生した場合に、「住民の生命・身体に危害が生じるおそれがある」土地を指定した区域です。
イエローゾーンと呼ばれることもあります。
過去の土砂災害による土砂の到達範囲などを踏まえて指定されます。
土砂災害警戒区域に指定されると、自治体は次のような取り組みを行うことになります。
- 市町村地域防災計画において、警戒区域ごとに警戒避難体制に関する事項(災害情報の収集・伝達、予警報の発令・伝達、避難・救助など)を定める(土砂法第8条第1項)
- 警戒区域内に災害時要援護者(高齢者,障害者,乳幼児など)が利用する施設がある場合、土砂災害に関する情報等の伝達方法を定める(土砂法第8条第2項)
- 住民に警戒避難のために必要な事項を周知させるためのハザードマップの配布など必要な措置を講じる(土砂法第8条第3項)。
土砂災害特別警戒地域(レッドゾーン)とは
土砂災害特別警戒区域とは、警戒区域のうち、土砂災害が発生した場合に、建築物が損壊して住民の生命・身体に著しい危害が生じるおそれがある区域です。
土砂災害警戒区域と同様、都道府県知事が、土砂災害防止法(土砂災害警戒区域等における土砂災害防止対策の推進に関する法律)に基づいて指定します。
土砂災害警戒区域の中でも特に危険な区域で、レッドゾーンと呼ばれることもあります。
土砂災害特別警戒区域では、一定の土地開発が制限され、居室を有する建築物の構造が規制されます。
土砂災害危険箇所と土砂災害警戒区域の調べ方
土砂災害危険箇所と土砂災害警戒区域については、ネット上で確認することができます。
国土交通省のハザードマップポータルサイト(土砂災害ハザードマップ)
国土交通省は、各都道府県が公開している土砂災害危険箇所と土砂災害警戒区域を確認できるハザードマップのポータルサイトを運用しています。
ハザードマップポータルサイトでは、危険な区域が細かく指定され、区域ごとにどのような危険があるかが一目で分かります。
ハザードマップポータルサイトで示される主な危険区域は、以下のとおりです。
- 崩壊土砂流出危険区域
- 急傾斜地崩壊想定区域
- 急傾斜地被害想定区域
- 山腹崩壊危険区域
- 土砂災害警戒区域
- 土砂災害警戒特別区域
- 浸水想定区域
- 浸水想定検討対象河川
- 地すべり危険箇所
- 土石流危険渓流
- 雪崩危険箇所
各自治体の土砂災害ハザードマップ
各自治体でも土砂災害のハザードマップを作成し、ウェブサイトや紙媒体で公開しています。
ただし、自治体によって、ハザードマップの充実度や使いやすさはバラバラで、素人が見ても必要な情報を得にくいものもあります。
ハザードマップを見て分かりにくいところがあれば、自治体の関係窓口へ行き、住んでいる地域が土砂災害危険箇所や土砂災害警戒区域に指定されていないか、口頭で教えてもらいましょう。
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まとめ
土砂災害から身を守るには、住んでいる地域が土砂災害警戒区域・特別警戒区域・危険箇所に指定されているかどうかを確認することが、まず大切です。
指定されていた場合、引っ越すという選択肢は選びにくいので、保険に加入する、避難場所や避難経路を確保しておくなどの備えをすることになります。
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