災害への備えを日常に!防災グッズをもっと身近に!

ローリングストック法とは?非常食以外は難しい?備蓄リスト一覧と保管場所を解説

ローリングストック法 食料品

この記事で分かること
  • ローリングストック法による防災備蓄品の備え方
  • 防災備蓄品の保管場所

災害発生時に備えて、平時から非常食や保存水などを備蓄しておくことは防災の基本です。

しかし、いつどこで起こるか分からない災害に備えるためのモチベーションを維持するのはなかなか難しいですし、費用や保管場所の確保といったハードルもあります。

また、防災備蓄品を購入したとしても、置き場所を忘れたり、賞味期限が切れていたりして使えなかったというケースも少なくありません。

こうした防災備蓄品に関する課題を解決する方法として注目を集めているのが、ローリングストック法です。

「無駄なく、無理なく」がキャッチフレーズのローリングストック法、どのような備え方なのでしょうか。

この記事では、ローリングストック法の基礎知識、ローリングストック法で備えておきたい備蓄品のリスト一覧、保管場所について解説します。

ローリングストック法とは

ローリングストック法とは、平時から使う食料などを少し多めに買い、使った分を買い足すことを繰り返し、常に一定量を備蓄しておく備え方です。

一般財団法人日本気象協会が運営する「トクする!防災」では、以下のように定義されています。

普段から少し多めに食料、加工品を買っておき、使ったら使った分だけ新しく買い足していくことで、常に一定量の食料を家に備蓄しておく方法

引用:トクする!防災

ローリングストック法と一般的な備蓄の違い

ローリングストック法と一般的な備蓄の違いは、以下のとおりです。

ローリングストック法一般的な備蓄
備えるモチベーション維持しやすい維持しにくい
費用1回の負担が少ない1度にまとまった費用が必要
保管場所の確保簡単家庭によっては難しい
賞味期限のチェック簡単難しい

一般的な備蓄は、災害発生時に使う非常食や保存食をある程度まとめて購入し、平時には使わず備えておきます。

まとまった費用と一定の広さの保管場所が必要になりますし、備えた後は使わないので放置してしまいがちです。

一方で、ローリングストック法の場合、平時に使う食料や日用品を少し多めに購入し、日常生活の中で使います。

そのため、1回あたりの費用はそれほどかからず、保管場所にも困りません。

古いものから使っていけば、賞味期限切れを心配する必要もありません。

日常生活のひと手間で済むので、備えることへのモチベーションも維持しやすいものです。

このように、ローリングストック法は、これまでの備蓄で課題だったモチベーションの維持、費用負担の大きさ、保管場所の確保、管理の大変さが改善されています。

ローリングストック法の例

例えば、1ヶ月に1度、5kgのお米を1袋購入していたとこころ、1度に2袋購入するようにします。

そして、1袋がなくなったら新しく1袋購入し、先に購入した袋を先に開けて、使い切ったらまた1袋購入することを繰り返します。

ローリングストック法は、食料備蓄の方法だと思っている人が多いですが、日用品でも実践するすることができます。

ローリングストック法のメリットとデメリット

ローリングストック法のメリットとデメリットについて解説していきます。

ローリングストック法のメリット

まずは、ローリングストック法のメリットです。

一般的な備蓄との違いでも触れましたが、もう少し詳しく書いておきます。

  • 備蓄するハードルが低い
  • 保管場所に困らない
  • 賞味期限を切らしにくい
  • 災害発生時に平時と近い生活を送ることができる

備蓄するハードルが低い

ローリングストック法では、備蓄専用の食料などではなく、日常生活で使う食料などを少し多めに購入し、使い切る前に買い足すことで一定量を備蓄します。

少し多めに買うだけなので、1回あたりの費用はそれほどかかりません。

また、一般的な備蓄品のように定期的な管理や入替えも必要ないので、備えることへのモチベーションを維持しやすいです。

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保管場所に困らない

ローリングストック法で備える食料などは平時にも使うものなので、それぞれ日常生活で使いやすい場所に保管しておけば足ります。

購入する量も「少し多め」程度なので、保管場所に困ることは少ないでしょう。

賞味期限を切らしにくい

一般的な防災備蓄品は、購入後に物置きなどにしまい込んで放置しがちで、災害発生時に賞味期限が過ぎていて使えなかったというケースがあります。

しかし、ローリングストック法で備える食料などは日常生活で使いやすい場所に置いておき、常に使っては買い足すことを繰り返しているので、賞味期限を切らす心配がありません。

また、防災備蓄品は「しまった場所を忘れて困った。」という人が多いですが、ローリングストックなら忘れる心配もありません。

災害発生時に平時と近い生活を送ることができる

一般的な備蓄で備えるのは、非常食や保存水など「防災専用」のグッズです。

これらのグッズは、災害発生時に必要な栄養や水分の確保、長期保存可能、コンパクトさといった機能性が重視されている反面、味や食感などはどうしても一般的な食料に劣ります。

平時に使うことはほとんどなく、使うとすれば、賞味期限が近くなった非常食や保存水を飲食するくらいでしょう。

ローリングストック法の場合、備えるのは普段から使う物なので、災害発生時にも平時と同じ食料を食べ、同じ日用品を使うことができます。

ごく短時間であっても「平時と同じ」生活ができることは、被災者の不安やストレスを和らげるという大切な効果があります。

ローリングストック法のデメリット

ローリングストック法は、一般的な備蓄の課題を解決するために考案された方法です。

そのため、一般的な備蓄にはないメリットが多いですが、一方でデメリットも存在します。

  • 食料や日用品以外は備蓄しにくい
  • 備蓄品の消費順序を間違える
  • 調理機器などを備えておく必要がある

食料や日用品以外は備蓄しにくい

ローリングストック法で備蓄しておけるのは、食料や日用品など日常生活で使う物で、災害発生時に必要な防災グッズの一部です。

災害発生時には、平時には使わないが必要なグッズがいくつもありますが、そうしたグッズの備蓄にはローリングストック法は向いていません。

例えば、簡易トイレは災害発生時に必要な防災グッズですが、平時に使うことはほぼないでしょう。

ローリングストック法だけで防災備蓄を全てまかなうことはできず、一般的な備蓄と並行して実践する必要があります。

備蓄品の消費順序を間違える

ローリングストック法を実践する場合、買った食料などを古いものから順番に使い、新しいものを常に一定量備蓄しておきます。

「使用順序」を守ることがとても大切なのです。

しかし、使用順序を気にせず使い、災害発生時に消費期限が切れた食料などが残っていたというケースが後を絶ちません。

調理機器などを備えておく必要がある

災害発生時には電気、ガス、水道のライフラインが断絶することがあります。

防災セットに入っている非常食の多は、ライフラインが途絶えても食べられるようにできています。

しかし、ローリングストック法で備える食料の多くは、食べるために調理しなければなりません。

そのため、食料などの備蓄とは別に、ガスコンロなどの調理機器を備えておく必要があります。

必要な備蓄品のリスト一覧と水や食料を備える量、保管場所を防災士が解説

ローリングストック法のポイント

ローリングストック法のメリットとデメリットを踏まえ、ローリングストック法を実践するときは以下のポイントに気をつけましょう:。

  • 使用順序を決めておく
  • 災害発生時を想定して食料などを選ぶ
  • 災害用の防災グッズは別途準備する

使用順序を決めておく

古いものから順番に使用することを決めておきましょう。

手あたり次第に使うと、災害発生時に消費期限が切れた物が残ってしまうことになりかねません。

MEMO

並べ方や置き方を決める、購入日のラベルを貼る、賞味期限が近いものだけ出しておくなどの工夫をして、家族全員で共有しておくことが大切です。

災害発生時を想定して食料などを選ぶ

災害発生時には、電気、ガス、水道などのライフラインが使用できなくなることがあります。

そのため、ローリングストック法を実践する場合、災害発生時のライフラインが途絶える可能性を踏まえ、調理が不要または簡単に調理できる食料を選ぶ意識を持っておきましょう。

災害用の防災グッズは別途準備する

ローリングストック法で備えるのは、食料や日用品です。

それ以外の災害発生時に必要な防災グッズは、別途準備しておくようにしましょう。

特に、ローリングストック法で食料を備蓄する場合、カセットコンロは欠かせません。

非常食も備蓄する

食料は、ローリングストック法で備蓄するだけでなく、非常食も一定量を備蓄しておくのが基本です。

一般的に、大規模災害が発生した場合に備え、防災備蓄品は1週間分を備えておくことが推奨されています。

食料については、3日分を非常食、それ以外を日常生活で食べるものを備えておくと良いでしょう。

MEMO

備蓄食料を全てローリングストック法で備えると、ライフラインが途絶え、自宅が被災して調理機器を持ち出せなくなった場合に困ります。

 

そもそも備蓄した食料を持ち出せないリスクもあります。

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ローリングストック法で備える備蓄品(非常食など)リスト一覧

ローリングストック法で備えておきたい備蓄品は、以下のとおりです。

備蓄品品目
食料・水

・米

・缶詰(サバ缶、サンマ缶、ツナ缶、フルーツ缶など)

・インスタント麺

・レトルト食料(カレー、おかゆなど)

・栄養食料(カロリーメイトなど)

・甘い物(ようかんなど)

・野菜・果物(冷凍保存、ドライフルーツなど)

日用品・ラップ

・トイレットペーパー

・ゴミ袋

・ウェットティッシュ

・マスク

・カイロ

・シャンプー、ボディーソープ

ストックする量として推奨されているのは4日分(非常食を3日分備える場合)です。

まとめ

ローリングストック法は、一般的な防災備蓄の課題を踏まえて考案された新しい備え方です。

ローリングストック法だけで全ての備蓄品を備えることはできませんが、一般的な備蓄と一緒に活用してみてはどうでしょうか。