- 家具の転倒防止に役立つ防災グッズ
- 家具転倒防止用の防災グッズの選び方
地震は、激しい揺れによって様々な被害を引き起こしますが、地震によるケガや死亡の原因として多いのが家具の転倒、落下、移動です。
阪神淡路大震災、東日本大震災、熊本地震、大阪北部地震、北海道胆振東部地震など大きな地震が発生するたびに、家具の転倒などが相次いで多くの死傷者が出ています。
家具による事故は適切な方法で備えることで防止できるので、平時に時間を取って備えることが大切です。
家具の転倒、落下、移動は防ぐことができる
「家具が倒れてきたらどうしようもない。」と思うかもしれません。
しかし、家具の転倒、落下、移動は、少しの手間と費用で予防することができます。
地震発生時の家具への対策を大まかにまとめると、以下のようになります。
地震発生時の家具対策 | 対策の方法 | |
集中収納 | クローゼットや備え付け収納にまとめて収納し、生活空間の物を減らす | |
家具類のレイアウト | ・避難通路をふさがない ・廊下に家具を置かない ・寝る場所や座る場所に家具を置かない(置く場合は倒れる向きに注意する) ・窓やドアの近くに転倒、落下、移動する家具を置かない ・家具などが転倒しても安全なスペースを確保する | |
転倒・落下・移動対策 | キャスターあり | 移動させる家具はキャスターロック、または使用後に固定する |
移動させない家具はキャスター下皿とポール式器具で固定する | ||
キャスターなし | ポール式・ストッパー式器具、L型金具などで固定 |
この記事では、家具の転倒、落下、移動を防止する対策について書いていきます。
家具の転倒・落下・移動対策とおすすめの防災グッズ
- 背が高く重い家具:専用器具で上下を固定
- キャスター付きの家具:キャスター下皿と壁面固定
- 落下の恐れがある家具:固定または下に降ろす
背が高く重い家具:専用器具で上下を固定
食器棚、本棚、衣装棚、ロッカーなど
背が高く重い家具が地震で転倒すると、当たった人はケガをし、最悪の場合は命を落とします。
子供や高齢者の場合、家具が倒れかかっているのに気づいてもすぐに回避するのが難しいので、直撃して大きなケガをしやすい傾向があります。
そのため、専用器具を使って上下を固定し、転倒を防止することが大切です。
上か下かだけでなく、上と下の両方を固定することがポイントです。
家具の上はL字型金具やつっぱり棒で固定し、下には家具の滑り出しを防ぐシートを敷いておくのが基本です。
食器棚など開閉式の家具は、家具が倒れたときに収納した物が落ちないように開閉防止器具を設置しておく必要があります。
開閉防止器具には粘着タイプ、チェーンタイプ、ネジ固定する掛け金タイプ、感震ラッチなどがあるので、家具の種類や傷のつきやすさなどで選んでください。
キャスター付きの家具
テレビラック、パソコンラック、衣類などを入れるクリアケース、ピアノなど
キャスター付きの家具は、キャスターロックが付いているものは、使用後に必ずロックをかけてください。
動かさない家具については、キャスター下皿の上に乗せ、移動しないようにします。
キャスター付きで背の高い家具は、転倒と移動の両方を予防しなければならないので、下はキャスター下皿、上はつっぱり棒で固定しておきます。
落下のおそれがある家具:固定または下に降ろす
冷蔵庫の上に置いた電子レンジ、キッチンにおいた炊飯器や電気ポット、ベッド脇の机に置いた照明、ウォーターサーバー、水槽など
ストラップ式や粘着式の固定器具を使い、乗せている場所または家具と固定します。
家具の上に家具を乗せている場合、下の家具を固定することも忘れないでください。
また、落下する心配のない場所に降ろして使用できる場合は、降ろすことで落下のリスクを防ぐことができます。
安全スペースと避難経路を確保する
家具を固定したとしても、100%落下などを防げるとは限りません。
どれだけ備えても、万が一ということがあります。
そこで重要になるのが、家具の配置を工夫することにより、家具が転倒してきても安全なスペースと避難経路を確保しておくことです。
背が高く重い大型家具は、人がよくいる空間やドア・通路に倒れないよう向きを調節しておきます。
廊下、寝室、食卓の近くには家具を置かず、窓やドアの近くには倒れる家具を置かないようにします。
窓ガラスには飛散防止フィルムを貼り付ける
家の中の備えで忘れがちなのが、窓ガラスです。
割れて床に飛散すると避難の妨げになりますし、割れたガラスに触れてケガをすることもあります。
飛散防止フィルムを貼り付け、割れても飛び散らないようにしておくことが大切です。
吊り下げ式照明はワイヤーで固定する
吊り下げ型照明も、対策を忘れがちな家具です。
大きく揺らされると落下するおそれがあるので、ワイヤーで固定して揺れを抑える必要があります。
賃貸住宅や持ち家の内装を傷つけないための防災グッズ
賃貸住宅の内装を傷つけると、退去時に修繕費用が高くつきますし、持ち家でも内装を傷つけたくはないでしょう。
内装を傷つけず家具の転倒は防止したい人におすすめなのが、家具の下に敷くシートとつっぱり棒です。
家具下を固定:家具転倒防止安定板 ふんばる君|ニトムズ
ふんばる君は、家具の下に敷くだけで滑り出しを防いで倒れにくくする防災グッズです。
ネジやクギ、粘着テープを使用しませんし、非移行性合成樹脂エラストマーという汚れにくい素材なので、床や壁を傷つける心配がありません。
ハサミでカットしてサイズを調整できますし、素材半透明なので見える場所に敷いても目立ちません。
60cm、90cm、120cmの3種類あるので、家具の大きさに応じて使い分けましょう。
メーカーの性能試験では、ふんばる君を敷いた食器棚が震度6弱相当の揺れで転倒しないことが確認されています。
しかし、震度6弱以上の揺れについては、家具の上を固定する転倒防止グッズも設置した状態で性能試験が行われています。
商品の紹介にも「他の地震対策品と併用するとより効果がアップします。」と明記されており、組み合わせて使うことが重要です。
家具上を固定:つっぱり耐震ポール|平安伸鋼工業
つっぱり耐震ポールは、両はしを家具と天井に押し当てて固定することで、家具の転倒を防ぐ転倒防止グッズです。
圧着面が21.2cm×7.0cmと大きく、耐圧が200kg(公開期間の押圧試験済)もあるので、強い揺れでも家具をしっかりと支えます。
圧着固定タイプなので工具なしで取り付けることができ、壁や家具を傷つける心配がありません。
取り付けの高さによって数種類販売されているので、家具と天井の間隔を測って購入してください。
社長が「ツッパリ」に変身し、つっぱり棒の正しい使い方を伝えるポスターが話題になった商品です。
アマゾンの転倒防止用突っ張り棒のカテゴリーで1位を獲得しています(2019年6月現在)。
ふんばる君とつっぱり棒は1つだけでも転倒防止効果がありますが、震度が強いと転倒する可能性があります。
必ずセットで使用してください。
まとめ
地震発生時には家具の転倒、落下、移動による事故が頻繁に起こり、死傷者が出ます。
ケガや自宅の被害を抑えるためには、家具の転倒などを防ぐ防災グッズを備えておくことが大切です。
家具の種類、大きさ、設置場所などによって備えるグッズが異なるので、間違えないようにしましょう。
内装を傷つけたくない場合は、つっぱり棒と滑り止めシートがおすすめですが、片方だけでは強い揺れに耐えられない可能性があるので、2つを併用してください。