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ダウンバーストの意味とは?飛行機の被害と竜巻との違いは?

ダウンバースト現象

この記事で分かること
  • ダウンバーストの意味
  • ダウンバーストによる飛行機事故(被害)
  • 竜巻との違い

積乱雲に伴う自然現象では竜巻が有名ですが、ダウンバーストと呼ばれる現象が起こることがあります。

ダウンバースト現象は、強い風で局地的に大きな被害をもたらすことがあり、特に、飛行機事故の原因として恐れられています。

この記事では、ダウンバースト現象の概要、ダウンバーストによる飛行機事故、ダウンバーストと竜巻の違いについて解説します。

ダウンバースト現象の意味とは

ダウンバースト現象とは、積雲や積乱雲から爆発的に吹き降ろす下降気流と、下降気流が地表に衝突して水平に四方へ吹き出す気流です。

ダウンバースト現象

出典:福岡気象台|ダウンバーストのはなし

吹き出した気流の広がる範囲は数百mから十kmまで幅広く、被害地域は円形や扇形など面的に広がります。

海上でダウンバーストが発生した場合は、白い嵐と呼ばれることもあります。

ダウンバースト現象の由来

ダウンバーストという名称は、日本人の気象学者の藤田哲也が名付けたとされています。

当時シカゴ大学に在籍していた藤田哲也は、1975年6月24日に発生した「イースタン航空66便着陸失敗事故」の調査を行い、事故原因となった下降気流を「downdraft outburst」と呼びました。

これがダウンバーストの由来となったのです。

マクロバーストとマイクロバースト

ダウンバースト現象は、水平方向に広がる吹き出す距離によってマクロバーストとマイクロバーストに分類されます。

ダウンバーストの種類吹き出す距離
マクロバースト吹き出す気流の範囲が4km以上と広範囲
マイクロバースト吹き出す気流の範囲が4km以内と局地的

ダウンバーストの原因

ダウンバーストの原因は、大きく2つに分類できます。

水滴に空気が押される

積乱雲の中で膨大な量の水滴が落下し、直に空気が押し下げられます。

また、摩擦によって水滴の周囲の空気が落下することも、空気の押し下げを助長します。

潜熱と顕熱

積乱雲の中の氷の粒は、落下によって融解して空気から大量の融解熱を奪い、乾燥した層を通るときに蒸発して気化熱を奪います。

また、温度の低い層から落下する水滴や氷粒は、周囲の空気より温度が低いので、状態変化を伴わず顕熱を奪います。

その結果、周辺の空気が冷やされて密度が増して下降気流が強まります。

ダウンバースト現象の特徴と被害

ダウンバースト現象は、風向(風が吹く向き)が吹き始めから吹き終わりまでほぼ一定です。

発生すると気圧が上昇し、強風が吹き始めると同時に気温が下降して湿度が上昇します。

ダウンバースト現象は水平方向に「面的」に広がるので、飛散物や倒壊物の方向が一方向または扇状(ある場所から扇状に広がる)になります。

また、通常は、竜巻のような大きな音はせず、急に強風が吹き荒れます。

ダウンバースト現象によって吹く突風は風速50mを超えることもあり、車の横転や飛行機の被害などが発生するおそれがあります。

風速の目安は、以下のとおりです。

風速目安
10m~まっすぐ歩きにくい

雨傘が壊れる

15m~風にあおられて転倒することがある

取り付けの悪い看板が飛ぶことがある

20m~立っていられない

子供が飛ばされそうになる

25m~樹木が折れる

屋根瓦が飛ぶ

30m~雨戸や屋根が飛ばされることがある

電柱が倒れることがある

35m~車や電車の客車が横転することがある
40m~体を45度以上傾けないと倒れる
45m~木造家屋が倒れる

樹木は根こそぎ倒れる

50m~車が横転する

飛行機に被害が出ることがある

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ダウンバーストとされる基準

ドップラーレーダーの観測で、レーダーに近づく方向と離れる方向の風速差が10m/s以上の場合にダウンバーストと判断されます。

ただし、風速差の範囲が大きすぎるとレーダーによる判別ができなくなるため、マクロバーストを判断することは困難とされています。

MEMO

ドップラーレーダーとは、観測対象の相対的な移動速度と変位を観測するために利用されるレーダーです。

音波や電磁波などの波の発生源と観測者の相対的な速度により、波の周波数が異なって観測される「ドップラー効果」を観測することが名前の由来です。

ドップラーレーダー

出典:気象庁|気象ドップラーレーダーによる観測

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ダウンバーストによる飛行機の被害

ダウンバースト現象で特に大きな被害を受けやすいのが、飛行機です。

滑走路において、飛行機が離着陸するときにダウンバーストが発生すると、飛行機が離陸または着陸できず墜落するおそれがあります。

ダウンバーストなどによる飛行機被害の例として、2つの飛行機事故に触れておきます。

  • イースタン航空66便着陸失敗事故:ダウンバースト現象が発見される端緒
  • パンアメリカン航空759便墜落事故:ダウンバーストとウインドシアーによるもの
  • 日本エアシステム451便着陸失敗事故:日本国内で発生(ウインドシアーによるもの)

イースタン航空66便着陸失敗事故

イースタン航空66便着陸失敗事故は、1975年6月24日にアメリカ合衆国で発生した航空機事故です。

この事故では、飛行機が高度500mを飛行中にダウンバーストに遭遇し、急激に高度を失います。

しかし、激しい雨のため視界がきかず、パイロットが下降気流に機体が押し下げられたことに気づかないまま墜落しました。

ダウンバースト現象

出典:気象庁|航空気象

飛行機に乗っていた124人のうち112人が機内で死亡し、救出された12人のうち3人も搬送先の病院で亡くなりました。

気象学者の藤田哲也は、この事故の調査に参加し、事故の原因となった現象をダウンバーストと名付けたのです。

パンアメリカン航空759便墜落事故

パンアメリカン航空759便が、1982年7月9日、ダウンバースト現象によって墜落した事故です。

アメリカ合衆国のルイジアナ州に離陸しようとした飛行機が、ウインドシアーとマイクロバーストの影響で墜落したとされています。

日本エアシステム451便着陸失敗事故

日本エアシステム451便着陸失敗事故は、1993年4月18日に日本で発生した航空事故です。

この事故は、風向風速が大きく変動する中で、ウインドシアーへの十分な準備をせず着陸動作を開始した結果、ウインドシアーの影響で機体が落下し、ハードランディングとなりました。

着陸時に火災が発生し、死亡者はいませんでしたが、飛行機に乗っていた77人のうち3人が重傷、55人が軽傷を負いました。

MEMO

ウィンドシアとは、風向や風速が、水平方向または垂直方向に大きく変化することです。

気象庁の図がわかりやすいので、掲載しておきます。

ウインドシアー

出典:気象庁|航空気象

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ダウンバーストと竜巻の違い

ダウンバーストと間違われやすい現象として、竜巻を挙げることができます。

竜巻とは、積乱雲の伴う上昇気流によって発生した空気の激しい渦巻きです。

竜巻は、積乱雲から垂れ下がる漏斗状(ろうとじょう)の雲や柱状の雲を伴うことが多くなっています。

発生規模は直径数十mから数百mと小さく、発生時間も短いですが、暴風を伴って局地的に大きな被害をもたらします。

ダウンバーストの違い

ダウンバーストと竜巻の大きな違いは、発生原因と発生時期です。

ダウンバーストと竜巻はいずれも積乱雲によって発生しますが、ダウンバーストが積乱雲からの下降気流で発生する一方で、竜巻は積乱雲の上昇気流によって発生します。

また、ダウンバーストが積乱雲の衰退期に発生しやすい一方で、竜巻は積乱雲の発達段階で発生しやすいという違いもあります。

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まとめ

ダウンバースト現象は、飛行機関係者にとっては大きな事故を招く現象としておそれられていますが、一般的にはあまり知られているとは言えません。

しかし、私たちの生活圏でもダウンバーストが発生する可能性があります。

例えば、2019年8月6日の夕方、長野県松本市から安曇野市にかけて突風被害が発生してましたが、長野地方気象台は、現地調査の結果を踏まえてダウンバーストによるものと発表しています。