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【防災担当者向け】企業や施設が防災備蓄品として備える防災グッズ非常食・保存水

企業 防災備蓄品 防災グッズ

この記事で分かること
  • 企業や施設の防災備蓄品(防災グッズ)の考え方
  • 企業や施設が備えるべき防災備蓄品(防災グッズ)の中身

企業や施設には、災害への備えの一環として災害備蓄品を備えることが求められています。

MEMO

私が企業や官公庁の防災担当者に話している内容を中心にまとめたものです。

 

防災担当者向けの記事なので、他の記事と比べると引用や専門用語がやや多めです。

 

あらかじめご了承ください。

帰宅困難者対策としての防災備蓄品

企業や施設の防災備蓄品は、大規模災害発生時の帰宅困難者対策の一環として、政府のガイドラインで備蓄の考え方が示されています。

また、条例などで基準を定める地方自治体も増えてきています。

内閣府のガイドライン

東日本大震災の影響によって、首都圏では公共交通機関の停止や大規模な渋滞が相次ぎ、約515万人に及ぶ帰宅困難者が発生したとされています。

この帰宅困難者への対策について、政府は、「公助、自助、共助による総合的な対応が不可欠」という考え方を示し、官民連携で対策を検討する際に活用するガイドラインを作成しました。

平成27年3月に内閣府(防災担当)が公表した、「大規模地震の発生に伴う帰宅困難者対策のガイドライン」です。

このガイドラインには、帰宅困難者に対する「企業等における施設内待機のための備蓄」の考え方が以下のとおり示されています。

  • 備蓄品の保管場所の分散や従業員等への配布を検討する
  • 備蓄量の目安は3日分とするが、3日分以上の備蓄についても検討する
  • 外部の帰宅困難者のために、例えば、10%程度の量を余分に備蓄する

引用:大規模地震の発生に伴う帰宅困難者対策のガイドライン|内閣府(防災担当)

また、「一斉帰宅抑制における従業員等のための備蓄の考え方」という参考資料には、備蓄の考え方がより具体的に示されています。

資料の内容は、以下のとおりです。

1 対象となる企業等大規模地震発生により被災の可能性がある国、都道府県、市区町村等の官公庁を含む全ての事業者
2 対象となる従業員等雇用の形態(正規、非正規)を問わず、事業所内で勤務する全従業員
3 3日分の備蓄量の目安⑴ 水については、1人当たり1日3リットル、計9リットル

⑵ 主食については、1人当たり1日3食、計9食

⑶ 毛布については、1人当たり1枚

⑷ その他の品目については、物資ごとに必要量を算定

4 備蓄品目の例示⑴ 水:ペットボトル入り飲料水

⑵ 主食:アルファ化米、クラッカー、乾パン、カップ麺

※水や食料の選択に当たっては、賞味期限に留意する必要がある。

⑶ その他の物資(特に必要性が高いもの)

・毛布やそれに類する保温シート

・簡易トイレ、衛生用品(トイレットペーパ等)

・敷物(ビニールシート等)

・携帯ラジオ、懐中電灯、乾電池

・救急医療薬品類

参考① 上記品目に加えて、事業継続等の要素も加味し、企業ごとに必要な備蓄品を検討していくことが望ましい。

(例)非常用発電機、燃料※、工具類、調理器具(携帯用ガスコンロ、鍋等)、副食(缶詰等)、ヘルメット、軍手、自転車、地図※危険物関係法令等により消防署への許可申請等が必要なことから、保管場所・数量に配慮が必要

② 企業等だけでなく、従業員等自らも備蓄に努める。

(例)非常用食品、ペットボトル入り飲料水、運動靴、常備薬、携帯電話用電源

引用:大規模地震の発生に伴う帰宅困難者対策のガイドライン|内閣府(防災担当)

防災コラム

「備蓄量の目安は3日分とする」と書かれているのは、通常、行政の避難者支援が本格化するのが災害発生から3日後(72時間後)だからです。

 

しかし、「南海トラフ巨大地震対策について(最終報告)」では、大規模災害が発生した場合は支援の本格化に3日以上かかると想定されており、1週間分以上の備蓄が推奨されています。

 

被災地域では、発災直後は特に行政からの支援の手が行き届かないことから、まず地域で自活するという備えが必要であり、食料や飲料水、乾電池、携帯電話の電池充電器、カセットコンロ、簡易トイレ等の家庭備蓄を 1週間分以上確保するなどの細かい具体的な対応を推進する必要がある。さらに、災害時要援護者の対応も避難者同士で助け合うなど、地域で自ら対応することへの理解が必要である。

引用:南海トラフ巨大地震対策について(最終報告)

 

ガイドラインの「3日分以上の備蓄についても検討する」という記載には、企業の負担を考慮しながら、大規模災害に備えることを促す意図が込められています。

地方自治体の条例

東京都では、内閣府のガイドラインに先駆けて、2013年4月に「東京都帰宅困難者対策条例」が施行されました。

東京都帰宅困難者対策条例では、企業や施設に対して、帰宅困難になった従業員が施設内待機するために必要な物資を備蓄する努力義務を課しています。

  1. 事業者は、大規模災害の発生時において、管理する事業所その他の施設及び設備の安全性並びに周辺の状況を確認の上、従業者に対する当該施設内での待機の指示その他の必要な措置を講じることにより、従業者が一斉に帰宅することの抑制に努めなければならない。
  2. 事業者は、前項に規定する従業者の施設内での待機を維持するために、知事が別に定めるところにより、従業者の三日分の飲料水、食糧その他災害時における必要な物資を備蓄するよう努めなければならない。

引用:東京都条例第17号第7条|東京都公報

また、内閣府のガイドラインが公表された後、東京都以外の道府県でも同じような条例が制定されるようになっています。

企業の防災備蓄は努力義務

2019年7月現在、企業に防災備蓄を行う義務は課せられていません。

内閣府のガイドラインは「防災備蓄の考え方を示しているだけ」ですし、地方自治体の条例は「努力義務を定めている」に過ぎません。

そのため、大企業や官公庁では防災備蓄が進められている一方で、中小企業や小規模事業者では経済的な事情などにより備蓄が進んでいないところが多く、防災格差が生じています。

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企業や施設が備えるべき防災備蓄品(防災グッズ)の中身

企業や施設が備えるべき防災備蓄品(防災グッズ)の中身リスト一覧は、以下のとおりです。

  • 保存水
  • 非常食
  • アルミブランケット
  • 簡易トイレ
  • トイレットペーパー
  • ウェットティッシュ
  • ビニールシート
  • ラジオ
  • ライト
  • 乾電池
  • 救急セット
  • ヘルメット
  • 軍手
  • 自転車
  • 地図
  • 発電機
  • 調理器具

一般家庭用の備蓄品と同じ防災グッズが多いですが、備える量が圧倒的に多く、費用や保管スペースの確保などを考えて購入しなければなりません。

必要な備蓄品のリスト一覧と水や食料を備える量、保管場所を防災士が解説

保存水

災害備蓄品として備える保存水は、管理、点検、入れ替えの手間を少なくするために、5~7年の保管ができる長期保存水を備えておきます。

内閣府のガイドラインに示された「1人当たり1日3Lの合計9L」を、従業員全員分備えます。

2Lのペットボトルの方が保管スペースが少なくて済みますが、別に水を飲むための紙コップを備えることになるので、ラッパ飲みができる500mlのペットボトルがおすすめです。

注意

通常の保存水は常温保管が推奨されており、高温な場所で保管すると、賞味期限前に劣化するおそれがあります。

 

高温な場所しか保管場所が確保できない場合、耐温度域の上限が60℃以上の保存水を選ぶようにしてください。

高度な場所で保存水を保管する場合のリスクについては、別の記事で詳しく解説しています。

車載や車中泊におすすめの防災グッズ、役立つ防災セットを防災士が解説

非常食

非常食は、保存水と同じく保存期間が5~7年のものを選びます。

一般家庭に備える非常食を選ぶ場合、アルファ米、パン、乾パン、お菓子など様々な種類の中から、栄養バランスや家族の好みを考えて選びます。

しかし、企業や施設の防災備蓄品を選ぶ場合、アルファ米や乾パンなどオーソドックスな非常食がおすすめです。

パンやお菓子などの非常食は、好みが分かれるからです。

従業員の好みは様々で、一人ひとりの口に合う非常食を選ぶことは困難なので、「誰でも食べることができる」非常食を選ぶことが重要です。

1人当たり1日3食の計9食を従業員の人数分揃えます。

注意

従業員の中にはアレルギーのある人もいるので、アレルギー食品を含まない防災グッズも備えておく必要があります。

持ち出し用防災セットの中身リスト一覧!最低限必要な防災グッズを防災士が徹底解説

アルミブランケット

内閣府のガイドラインには毛布と書かれていますが、アルミブランケットがおすすめです。

アルミブランケットは、「薄い」、「軽い」、「暖かい」の3つが揃ったアウトドア用の防寒グッズで、防災グッズとしても効果を発揮します。

毛布よりもかさばらないので、保管スペースの節約にもなります。

簡易トイレ

「オフィス内にトイレがあるから簡易トイレは不要」と思うかもしれません。

しかし、断水するとトイレが使えなくなるので、簡易トイレの備蓄は必要です。

特に、オフィスがビルやマンションにある場合は注意が必要です。

注意

ビルやマンションでは、ポンプで水のくみ上げや各部屋への供給を行っているので、停電してポンプが停止すると断水するリスクがあります。

オフィスのトイレの便座はそのまま使えるので、防臭袋+凝固剤(凝固剤不要の簡易トイレなら防臭袋のみ)を購入しておきましょう。

一般家庭用のゴミ袋を備える方法もありますが、オフィス内に尿便のニオイが充満すると誰もが不快な気分になるので、ニオイ対策として防臭袋を備えることをおすすめします。

トイレットペーパー

トイレの後にお尻を拭いたり、鼻をかんだりするのに使います。

平時から十分な量を備えてある場合は、追加で購入して備蓄する必要はありません。

ウェットティッシュ

内閣府のガイドラインにある「衛生用品」として、ウェットティッシュを備えておきます。

ウェットティッシュは、汗ばんだ体や顔を拭いたり、トイレ後や食事前に手を拭いたりするなど使い道が多い防災グッズです。

刺激をや香りは人によって好みが分かれるので、ノンアルコールで無香料のウェットティッシュを選びましょう。

ビニールシート

オフィスや運動施設、工場内などで待機する場合に、床にビニールシートを敷いてその上に座ったり寝転んだりします。

床からの冷気を遮ってくれますし、出っ張りなどがあっても安全に腰を下ろすことができます。

また、外に出ている機材にかけて雨から守るのにも使えます。

ラジオ

ネットが使用できなくなった場合に備え、情報収集用に防災ラジオも必要です。

各部課室に数個あれば十分です。

「ラジオを備えていたが、聞けなかった」というのは困るので、災害発生時に必ず聞けるよう、ワイドFMに対応した感度の高いラジオを選んでください。

「オフィスにはテレビがあるから大丈夫」と思うかもしれませんが、停電すると見られなくなるので、手回しまたは乾電池式のラジオを備えておきましょう。

ライト

停電してオフィス内が真っ暗になることもあるので、乾電池式のライトも備えておきます。

1人当たり1つあるのが理想ですが、ヘッドライトやランタンなどを部課室単位でまとめて置いておく方法もあります。

乾電池

ラジオやライトを使うために必要なのが、乾電池です。

平時でも備品に使うものなので、ローリングストック法による備蓄がおすすめです。

注意

乾電池は長期保管が可能ですが、半永久的に保管できるわけではありません。

 

乾電池には「その期間内に使用を開始すれば電池は正常に作動し、JISに規定する持続時間等の性能を満足する期間(JISより引用)」という使用推奨期限が設定されています。

この期限を過ぎると、性能低下や液漏れが起こる可能性があります。

救急セット

オフィス内にいても、激しい地震の揺れやそれに伴うガラスや照明器具の破損、オフィス機器の転倒・落下・移動などによってケガをする可能性があります。

部課室内に救急セットを備えておき、いざというときに応急手当てができるようにしておきましょう。

救急セットの中に備えておきたいグッズは、以下のとおりです。

  • 救急セット:消毒液、絆創膏、ガーゼ、包帯、ハサミ、ピンセット、マスク、体温計など
  • 薬:頭痛薬、解熱剤、胃腸薬、目薬、湿布、持病の薬など

ヘルメット

地震発生時にすぐ頭を守ることができるよう、従業員用のヘルメットも備えておくべきです。

特に、工場など地震発生時にケガをするリスクが高い場所では、従業員がすぐ手に取れる位置にヘルメットを備えておく必要があります。

通常タイプのヘルメットはかさばりますし、近くに備えておくことも難しいので、折り畳みタイプのヘルメットがおすすめです。

防災用ヘルメット IZANO MET(折りたたみ作業用ヘルメット)

軍手

軍手は、ガラスやガレキから手を守るための防災グッズです。

帰宅困難者は、ある程度の期間をオフィス内で過ごし、オフィス内を移動したり片づけたりするので、手をケガしないように軍手を渡します。

自転車

大規模災害が発生すると公共交通機関が停止しますし、道路では大規模な渋滞が発生するので車で移動するのは困難です。

緊急にオフィスの外に出かける必要がある場合は、自転車が便利です。

平時から備品として自転車を購入している企業や施設は多いですが、災害発生時に問題なく使えるように整備しておくことも大切です。

地図

オフィスの周辺地図も備えておく必要があります。

平時のうちに、従業員に通勤経路とその地図を提出させて分類しておくと、帰宅困難者の把握などに役立ちます。

通常の地図だけでなく、周辺地域の危険度や避難場所・避難経路などの防災情報が表示されたハザードマップも備えておきましょう

ハザードマップとは何かを簡単に解説!種類とハザードマップポータルサイトも紹介

発電機

停電したときに備え、発電機も備えておく必要があります。

調理器具

非常食としてレトルト食品などを備える場合は、調理器具も必要です。

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まとめ

現時点では、防災備蓄品を備えなくても罰則などはありません。

しかし、従業員の安全と安心を確保し、ひいては企業や施設の業務を継続するために、防災備蓄品はなくてはならないものです。

一般家庭用の防災グッズや防災セットと同じく、災害発生後は品切れ・品薄状態が何ヶ月も続くので、平時のうちに購入を検討することが大切です。

必要な備蓄品のリスト一覧と水や食料を備える量、保管場所を防災士が解説